全国養護教諭連絡協議会の第23回研究協議会が2月23日、都内のメルパルクホールで開催された。当日は約1500名の養護教諭が参加。「時代の変化に対応した養護教諭の役割を追究する」~『チームとしての学校』の力を高める養護教諭の役割とは~を主題に、基調講演やフォーラムが行われた。
同協議会の村井伸子会長は「夢と自信を持った子供の育成を目指し、養護教諭全体の更なる資質向上に取り組んでいきたい」とあいさつ。養護教諭の“働き方”にも言及し、「チーム学校として子供たちを支援するためには、養護教諭が元気であることが大切。一人職の場合が多いが、養護教諭同士のつながりも活用して」と語った。文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課の三谷卓也課長も「新学習指導要領は、子供が“何が出来るようになるか”が重視された。複雑化する健康課題を克服するために、子供自身がどれだけセルフマネジメントできるようになるかが重要」とした。
特別講演では、発達障害のピアニストである野田あすかさんの母・恭子さんが登壇。あすかさんが幼少期からピアニストとして活躍するまでの家族の葛藤や、あすかさん自身の苦悩を振り返った。22歳で障害が発覚し、幼い頃からピアノが大好きだったあすかさんのために家族は数々のピアノコンクールを中間目標として設定。ピアニストへの道をサポートした。現在、全国各地でコンサートを開催しているが、あすかさんは「人を幸せにできるようなピアニストになりたい」と語る。
フォーラムでは「養護教諭の専門性を生かした子供たちの心身の健康の保持増進に向けた取組とは」をテーマに校種の異なる4名の養護教諭が協議。登壇者は以下の通り(敬称略)。
宮本妙子(山口県光市立浅江小学校)、小泉明美(山梨県北杜市立明野中学校)、村上まゆみ(秋田県立本荘高等学校)、山口麻由子(茨城県立水戸高等特別支援学校)、コーディネータ=後藤ひとみ(愛知教育大学長)
実践報告で、宮本養護教諭は担任・管理職と共有し、健康面以外にも不登校傾向児の早期発見や生活指導の対応に役立てている、健康観察の情報活用法を紹介。「全ての教職員と学校の健康課題を共有し、個別の配慮や支援を理解した取組が大切」と語る。村上養護教諭は「生徒の健康課題にいち早く気づき、課題に応じて校内外の専門家を交えたチームで取り組むことを重視している」と話した。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年3月19日号掲載