全国養鱒振興協会では、毎年首都圏の小中学校1校を対象に、全校児童生徒・教職員分のニジマスを給食用に提供している。家庭で魚を食べる機会が少ない子供たちにニジマスの美味しさや栄養価、生態などを伝えるため、食育授業も実施している。
千代田区立千代田小学校(浅岡寿郎校長)の柿沼みな子栄養士は、魚を食べる機会が少ない家庭が多いことを受け、児童に魚への関心を持たせたいと考えていた。食卓に並ぶ切り身の状態だけではなく、実際に泳ぐイメージを伝えたいという思いがニジマス授業実施につながった。
12月20日、全国養鱒協会の芳賀稔理事はニジマス博士として5年生のクラスを訪問。授業は、児童らにニジマスの生態や高い栄養価について紹介し、最後にクイズで復習するというもの。マスを知らない児童が多数だったが、「どうやって食べるの?」「体重は何キロくらい?」などの質問が飛び交い、芳賀理事は丁寧に答えていた。
教室脇で60センチのニジマスが展示されると、児童らは初めて見るニジマスに興味津々。触ったり匂いを嗅いだりして観察する姿が見られた。
ニジマスは、成長期の子供に欠かせないタンパク質を豊富に含んでいる。この日の献立は、ニジマスの香味揚げ、切り干し大根の胡麻酢あえ、豚汁、ゆめオレンジ、五穀ご飯、牛乳。ニジマスの持つ風味を生かし、児童に大人気の揚げ物に調理された。喫食中、児童からは「美味しくて皮まで食べた」などの声が挙がっていた。
授業を振り返り、「児童に実物を見せることができて本当に良かった。今後も魚への関心を育てていきたい」と柿沼栄養士は語る。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年2月19日号掲載