生徒の部活動が活発な練馬区立田柄中学校(宮古登校長)では、昨年度から怪我の応急処置について、生徒への指導に力を入れている。指導の中核を担う葛木有紀養護教諭にその活動を聞いた。
昨年度、東京都の教育研究員を務めた経験があり、日頃から地域の研究会に参加するなど、積極的に情報を集め、保健指導の充実につなげている。
昨年度から保健委員の生徒を対象に行っている「ミニ保健指導」もそのひとつ。
委員会活動の時間を利用し、時期に合わせた内容を指導しており、特に応急処置に関する指導を重視しているという。
例えば、「救急の日」(9月9日)には救急箱に必要な道具について考える場を設け、体育祭前には実技を伴う「RICE処置」の指導を行った。
「自分の体を守るための手段なので、生徒らは真剣に取り組んでいた。今後は委員の生徒が処置の方法をクラス単位で発表できる場を設けたい」と話す。
2年生の理科の授業で手づりの教材を活用し、止血の方法を指導 |
「応急処置の方法は、保健の授業で指導しているにも関わらず、怪我をそのままにして来室する生徒が多く、保健学習で学んだ知識が実生活にいかされていない」と感じていたそうだ。
昨年参加した東京都教職員研修センターでの研修を通して、生徒が生活に直接結びつけて考えられるような授業づくりの必要性に気づいたという。
そこで、昨年度2年生の保健の授業以外に、理科の授業でも応急処置の指導を実施。
「地震と安全」の単元において、災害時における具体的な応急処置の指導を行った。
その結果、応急処置の必要性や災害の恐ろしさを関連付けて指導したことで、生徒の深い理解につなげることができた。
理科の担当教諭の協力を得ながら作成した、骨折時の処置に用いる三角巾や、毛布を使った簡易担架といった手作りの教材も、生徒の理解を促進したようだ。
「協力的な他教員の支えがあったからこそ、授業を実現できた。今後も教科横断型の指導を続けていきたい」と更なる展開に意欲を示す。
授業で学んだことを生かし、部活動中に怪我をした後輩に応急処置の方法を伝える生徒の姿も見られ、授業の成果を実感しているという。
【2016年11月21日号】