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学校給食は食育の教材【第25回】国際理解と食育

2016年9月19日
連載

外国料理を通じて異文化理解図る

中華風給食
タンメン、餃子、杏仁ゼリーの中華風給食

リオオリンピック・パラリンピックは東京オリンピック・パラリンピックへとバトンが繋げられようとしています。学校ではオリンピックイヤーということもあり、国際理解教育が盛んに行われています。この教育活動の背景は、1974年当時の文科省が、ユネスコの「国際理解、国際協力及び国際平和のための教育並びに人権及び基本的自由についての教育に関する」勧告を受け、その考え方をまとめたもので、後に臨時教育審議会~教育改革に関する答申~の柱の一つとして「国際化に対応した教育の推進」が示されました。

授業と絡めて学ぶ世界の食

具体的な指導の在り方としては「国際理解教育は、各教科、道徳、特別活動などのいずれを問わず推進されるべきものであり、(略)単に知識理解にとどめることなく、体験的な学習や課題学習などをふんだんに取り入れて、実践的な態度や資質、能力を育成していく必要がある」とし、「『総合的な学習の時間』を活用した取組も考えられよう」と、提案されています。

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、新たに「オリパラ教育」が始動しています。日本の郷土料理や外国料理を給食で取り上げ、児童生徒に伝えるという活動は定着してきています。今後は、食育と絡めた具体的な取組として、外国だけではなく自国(日本)の文化をもより深く知り、体験するというものが中心となるでしょう。次のような取組が考えられます。

(①~③小学校向き、③~⑤中学校向き)

①世界の味めぐり(世界の名物料理)

古くから日本に根付いた外国料理を紐解くこと、発展途上国の意外なグルメを取り上げ調理体験することを通して、国際理解へと繋げる。

②各国の特産物を調べよう

社会科「我が国の食料事情」等と連携させ、輸入食品と原産国を調査するなど、外国の農業・漁業についての興味関心を深める。

③日本のおもてなしを伝えよう

日本の文化としてのおもてなしの心を学び、外国からのお客様への伝え方を体験する。

④世界が注目!「日本型食生活とは」

日本が誇る健康的な食事形態を再認識し、自らの食生活に活かす手立てや給食の献立作りから実践方法を学ぶ。

⑤世界の健康政策に学ぶ

健康づくりは、日本のみならず世界各国の大きな課題である。それぞれの取組に着目することにより、各国が抱える問題等を知り、相互理解と国際平和の在り方を学ぶ。

食を通じて様々な国を知る

チャー・ゾーとモロヘイヤスープ
ベトナム風春巻き「チャー・ゾー」(左)、
エジプト料理の「モロヘイヤスープ」(右)

私がこれまで体験した国際理解教育といえば、外国からのお客様への対応で、訪問に際してのおもてなしや給食の配慮と、対応学級への食に関する指導でした。その国を知ることと日本のアピールを中心に考え、学校全体への取組も行いました。また、最近増えている外国籍児童や宗教上の理由による禁忌食物の給食対応も国際理解の一つと言えるでしょうか。食物アレルギー対応とは異なり、当事者以外の児童生徒への周知と理解に気を配りました。

昨年12月にご縁のあった東京都港区の小学校教育研究会(給食研究部)では、昨年度「和食・マナー」と「国際食」の研究を進められたそうで、その研究冊子に紹介されていたベトナム料理とエジプト料理をある調理講習会で活用させていただきました(写真)。栄養士のみなさんはこのように、日々食育活動等の研究を積まれています。その成果を広く交流できる場を設けることができたらと願っています。

 


大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。

【2016年9月19日号】

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