ヒスキュイパンを使った献立 |
給食関係者にとっては、充電できる夏休みですね。研修や講習会への参加も多いことでしょうが、休み明けの給食再開に向けて、大いに見聞を広めてください。本号も、その一つとしてお役にたてれば幸いです。
地産地消の取組は定着してきていますが、給食の材料として導入するのと同時に、食育につなげる活動も増えてきました。
給食に使われた地場産物について、おたよりや掲示物・展示、放送などで紹介することにより、児童生徒の興味関心を引き、知識欲を高めます。
生産者を招き、特産物についてのお話を聞いたり、畑などに出向いて取材したことをまとめ、グループで発表。
「小松菜」学習発表の様子 |
私が勤務していた東京都江戸川区では、特産物の「小松菜」について副読本を用いて学習しており、「小松菜給食の日」には、農家より無償で小松菜の配給がありました。その日の給食は小松菜づくしとなり、小松菜の学習をした3年生が、給食時に各クラスで発表しました。
特産物の学習をしたのち、その特徴を生かした調理法を用いてレシピ開発を行い、児童生徒自ら調理実習したり、加工方法を考案します。
このように、地場産物を給食に活用するだけでなく、児童・生徒が生産者の工夫や苦労を知り、その良さを他学年や家庭・地域に広める活動を通して、地元愛にめざめ栽培加工に興味を持つなど、食育からの広がりを見せ、地域の発展へとつなげています。
音楽会用に装飾を施したデザート |
給食で取り上げる「行事食」は、いわゆる年中行事(歳時)に関するものが定着していますが、二十四節気(にじゅうしせっき)・七十二候(しちじゅうにこう)に目を向け、昔ながらの暮らしに根付く「暦」を意識した献立を考えている栄養士もいます。
また、学校行事に関連させた取組も増えてきました。例えば、運動会前には、スタミナが付く料理や験(ゲン)担ぎのもの、マラソン大会には身体が温まるもの、読書週間には物語に出てくる料理、学芸会には、劇中の料理や食べ物、音楽会には合唱曲に出てくる料理や食べ物、また、音楽をイメージした装飾を施したもの等々。
昨年の連載(9/21号)で紹介しましたが、学年行事と授業を関連付けた「体育大会に向けて」では、運動と栄養について生活リズムを含めた事前指導を行い、給食では基礎体力を高める食事(栄養バランスの良い食事)を提供しました。
料理や食べ物には、たくさんのキーワードが含まれており、その一つひとつを取り出し食育につなげることが新しい活動を生み出します。ぜひこの夏に、教材となるキーワード探しをしてみてはいかがですか。
大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。
【2016年8月15日号】