埼玉県南西部、入間市立西武中学校(岩沢篤男校長)を訪問した。同校の全校生徒193名は、すべて同市立仏子小学校からそのまま同校へ入学するため、9年間の学校生活を同じメンバーと過ごしている。
同校に赴任して3年目の川上詩織養護教諭は、小学校から中学校までの9年間の学習・体づくりを円滑に進めるため、小中連携に積極的に取り組んでいる。
同校では、昨年度から仏子小学校と同校の教員が相互に授業を見学する機会を設け、連携を強化させてきた。川上養護教諭も、保健指導の充実のため足を運び、特に歯科保健指導の充実に努めている。
例えば、1・3・5年生が合同で行う歯科衛生士を招いた授業が行われた際にも見学に行った。「中学校での指導に結びつけるために、小学校ではどのような歯磨き指導が行われているのかを把握しておくことが重要と考えた」からだ。
仏子小学校での歯磨き指導は徹底されており、給食後はほとんどの児童がすぐに歯磨きに向かう。「小学校ではかなり力を入れており、その様子を目の当たりにすることで、その良い習慣を崩さないようにしなければという気持ちを持てた」と川上養護教諭は話す。
その気持ちが、保健安全委員会の活動の一環として定期的に行っている「歯磨きチェック」に表れている。これは、委員が昼食後洗い場に立って、クラス別に個人の歯磨きの有無をチェックするというもの。
歯科指導を受ける生徒ら |
川上養護教諭は生徒の実態を知り、より適切な指導を行うため、チェック期間の設定に工夫を凝らしている。例えば、新1年生に意識を定着させるよう4月に行ったり、抜き打ちで行うこともある。
チェック期間の前には川上養護教諭から担任へ説明。「生徒とのコミュニケーションの中で指導のサポートをお願いしている」。担任の声掛けなどを励みにしている委員もおり、担任との連携が歯磨き指導の徹底につながっている。
この結果、歯磨きを怠っていた生徒には、川上養護教諭が直接指導している。これらの徹底した指導が実を結び、多くの生徒に歯磨き習慣が身についてきているという。
これらの直接的な指導だけでなく、保健だよりの配布時においても、生徒らに間接的な保健指導を行っている。
「ただ渡すだけでは、生徒が読んでいるか分からないので、クラスで保健安全委員の生徒が配布する際に、保健だよりの読み合わせをさせている」。普段興味を持たない生徒も、クラス全員で読み合わせをすることで、知識を得ることができる。
川上養護教諭は、すべての生徒の健康を底上げするように、徹底した保健指導を行っている。
【2016年8月15日号】