健康教育の推進に積極的に取り組み、これまで文部科学省や埼玉県などから多くの表彰を受けている、さいたま市立岸町小学校(矢部一夫校長)を訪問。赴任3年目の森本佐見枝養護教諭は、全校児童594名の健康をサポートしている。
同校の朝は、健康観察後の朝運動から始まる。学校が独自で考案した、血液循環を良くする「ぽかぽか血液循環体操」などだ。森本養護教諭は朝運動の時間に児童が活動する校庭や体育館を巡回し、体調不良などで見学中の児童に声掛けをしながら、児童の体調の把握に努めている。「もれのないサポート」で、児童全員の健康につなげたいという思いがあるという。
さらに、児童の健康状態を把握するため、学期ごとに毎日の起床・就寝時刻、朝食の内容、歯磨きの有無などのチェック欄を設けた「生活カード」を活用している。
森本養護教諭は、チェック欄と児童の反省、保護者の感想に目を通し、全児童にコメントをつけて返却している。児童が努力した項目には丸をつけて褒めるなど、細やかな配慮も忘れない。森本養護教諭は「本校は児童の健康管理における保護者の意識がとても高い」と話し、カードに書かれた感想などを通じて、保護者の関心の高さを実感している。
児童らにアレルギー除去食の説明をする森本養護教諭 |
また、食物アレルギーに関する校内連携は、同校の特色の一つだ。現在、食物アレルギーを持つ児童が各クラスに1人以上いることから、森本養護教諭は、栄養教諭と連携を密にして給食時の対応を強化している。
まず、食物アレルギー内容を共有するため、森本養護教諭が連絡をとり、栄養教諭と共に対象児童の保護者と面談を行う。これにより互いの理解が深まり、給食時の細やかな対応が実現している。
年度の給食開始日には栄養教諭と分担し、1、2年生の教室を巡回しながら、除去食について説明。全ての児童に扱いや取り違えの注意などを促している。
「児童が安心して給食を食べられる環境をつくりたい」。この働きかけで、児童の理解も深まっている。
さらに、地域とは児童の登下校を通じて、つながりが生まれている。特に「毎朝校門前で旗ふりをしている地域の自治会長さんが児童を見守っていてくれるので、欠席や登校が遅い児童の情報などを共有できている」という。校内から見えない登校時の様子は、学校にとって貴重な情報だ。森本養護教諭は地域や保護者の情報を受けとめる窓口となり、学校での把握につなげていた。
【2016年7月18日号】