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学校施設

学校給食は食育の教材【第22回】実習生の受け入れ(栄養士)

2016年6月20日
連載

実習生を通じて食育への関心を高める

世界の名物料理シリーズ ブラジル
五輪イヤーにちなみブラジルのスープ「フェジョアーダ」を提供

もうすっかり定着しましたが、6月は食育月間です。食育というまでもなく、学校では日々の給食を通じて、ことあるごとに食教育を行っています。 それを実践するのは全教職員ですが、「食教育の教材となる給食」づくりをし、食育年間計画の作成を支援していくのは、栄養教諭・学校栄養職員の大きな役目です。 食育の担い手である「栄養士」の資格を得るためには、臨地訓練・給食管理実習が義務付けられています。栄養士の職場となる、病院・保健所・学校・福祉施設・事業所等で実習を行います。本号では、学校で受け入れられている栄養士の実習についてお話したいと思います。

栄養士の実習は、自治体によって受入れ方法が多少異なりますが、だいたいは、指定の栄養士養成施設から約2~6名程度の実習生がきます。受け入れ校の選定は、校長会や栄養士会などの取り決めで推薦・立候補・輪番などの方法で決定します。栄養士と栄養教諭の具体的な実習内容は次の通りです。

1、栄養士実習

①期間:5日(短大)~10日(専門)

②目的:学校教育の一環として行われている学校給食の組織、運営などの実態の一部を履修・体得すること

③実習内容:学校給食の概要(法的根拠食事摂取基準、給食運営)・給食事務関係・給食管理と衛生管理・給食指導職務内容・学校組織等

④指導者:給食主任・栄養士

⑤実習計画:講話(校長・副校長・給食主任・養護教諭・事務主任)、昼食時の学級訪問(給食参観・会食・5分間給食指導)、食に関する指導実習、給食施設等見学(近隣の中学校)、会議・委員会・研修等の見学、栄養士の説明他

⑥実習報告会:全教職員参加の下、実習報告と成果発表

2、栄養教諭実習

実習生による食育授業
児童らを前に教壇に立ち
食育の授業をする実習生

①期間:5日間(40時間程度)

②目的:学校教育課程及び食育全体計画に基づき行われている、食に関する指導・食育活動の一端を体得する

③内容:学校教育と組織・教育課程について、校務分掌、生活指導、保健指導、学級経営、給食指導・食育活動

④指導者:栄養教諭・教育実習担当教諭

⑤実習計画:講話(校長・副校長・教務主幹・生活指導主幹・教育実習担当教諭・養護教諭・栄養教諭)、全学年の授業参観、教材研究及び学習指導案作成研究授業、昼食時の学級訪問(給食参観・会食・5分間給食指導)他

⑥研究授業・研究協議会

私は、平成7年よりほぼ毎年ライフワークのように実習生(2~4名)の受け入れを続けてきました。きっかけは、受け入れ施設の減少に苦慮していた恩師の依頼からでした。将来、食育を担う存在になる実習生の役に立ちたいという気持ちと、「教えることは、学び直し」との思いがあったからです。実習報告・発表反省会を実施することで、栄養士の存在をアピールし、給食や食育への関心と理解を得ることにつながるとも考えました。先生方からは「自分の教育実習を思い出し、リフレッシュできた」「新卒時代をふりかえり、気持ちを新たにできた」という意見もあり、まさに実習を通して「学び直し」を実感することができました。

受け入れに際して管理職が承諾しているとはいえ、綿密な実習計画を提示し、協力を仰ぐことが大切です。実習生に対しては、実習態度など心構えを教示し、礼儀作法の徹底を怠りなくすることが重要ポイントです。

 


大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。

【2016年6月20日号】

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