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学校給食は食育の教材【第19回】年度の振り返りと次年度計画

2016年2月15日
連載

課題再試行と評価を通じ次年度計画を

七草の行事食
「初午の日」の給食
(こぎつねごはん、シシャモのごま天ぷらなど)

2月はあっという間に過ぎてしまいますが、卒業式・修了式を控えたまとめの時期でもあり、食育年間計画の評価・反省を行うのに適しています。見直しを行い、実態に見合った内容にするため、授業のテコ入れや、新たな授業の試行を考えてみませんか。

卒業を控えた学年を除けば児童生徒も落ち着いており、余裕があるという学校もあるでしょう。授業が遅れている学級以外は、時数的に余裕があり食育等の授業を設定しやすいとも聞きます。私はこの時期に、子供たちの様子について養護教諭とじっくり話す機会を設け、健康面での課題を洗い出し、新たな授業や指導の試行等を行っていました。一例をご紹介します。

■養護教諭と話し合い連携した授業

【1年】「みんなちがってみんないい」

アレルギー児が2名おり、その対応について「周知」させる、というこれまでの指導に課題があると感じていました。1年生からアレルギー(アレルギー児)への「周知と理解」が重要と考え、人権的配慮も含め道徳等と関連した授業を3時間扱いで行いました。

第一学年プリント
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給食指導全大会プリント
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(1)「38色のクレヨン」(道徳)
好きな色・よく見るテレビ・好きな科目・苦手な食べ物など、質問カードを作りグループ内で質疑をするという活動を行う。それぞれ違う個性があることに気づき、他を認めるということがねらい。

(2)「健太君の悩み」(道徳)
肥満児指導を行っていたことから、人権教育をからめた授業を実施。紙芝居を用いて、肥満児健太君の悩みを知り、元気づける手紙を書くというまとめにした。

(3)「食べられないのはなぜ?」
アレルギーのメカニズムを、体の中で活躍する予防レンジャーのキャラクターを通して、理解に結び付ける授業を養護教諭が行った。

授業の望ましい順番に関しての課題は残りましたが、児童の「周知と理解」は得られ、差別感を持つことなく学校生活を送れたこと、また、給食時間には積極的にアレルギー対応食の手伝いをする児童の姿が見られ、お代わりに対する判断などを共有できたことが成果となり、必要に応じて1年生の2学期に行うという確約がとれました。

■次年度に向けアンケートを

学校評価(年度末反省)の日程も決定する時期なので、食育推進チーム(保健・給食委員会など)で実施後の反省・評価と来年度計画を十分話し合う必要があります。そのため、授業アンケートの結果などをまとめたり、児童の声を聞く取組も行うと評価の高い資料となるでしょう。特に卒業学年へのアンケートは、過去に取り組んできた給食や、食育の内容を含めた設問にすることで今後の貴重な参考となります。

そして、「食育全体会」を職員会議または学校評価の折に、短時間でもいいので設定してもらうことが望ましいです。議題は、(1)衛生管理(学級の様子、チェックリスト、給食室の様子など)、(2)献立内容(児童の様子、給食の残量などを含め)、(3)給食指導(配食、配膳、喫食、後片付けなど)、(4)食育授業、(5)卒業生アンケートより、など。栄養教諭・学校栄養職員が一人で運営・指導などを抱え込んでしまうと、こういった場の設定についても遠慮がちになってしまうので、組織を活用して全体にかかわる重要課題と意識して取り上げてもらいましょう。

 


大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。

【2016年2月15日号】

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