「サツマイモの日」給食 |
秋は行事が多く学校は慌ただしいですが、活気れる充実の時を迎えます。この時期は、子供たちの成長が色濃く映る時でもあります。そんな時期に開始をおすすめするのが「給食ノート」です。今から30年余り前に始めましたが、感受性が豊かになり著しく心が成長し、素直な感覚を表せる4年生が良い時期だと思います。
30年以上続けたノートは「宝物」で今でも保存 |
この2つが約束事であとは自由記述です。ノートからにじみ出てくる4年生の心情は、「給食大好き」「苦手なモノへの挑戦」「作ってくれた人や友達・先生への気遣い」があふれています。
まずは担任に相談しました。目的と方法を伝え、無理なく進める旨を伝えます。提出の徹底だけでなく書き方の指導をしてくださった先生もおり、中には自ら進んで書いてくれたことも。多くの先生が私の返事の長さに驚き、活動を支援してくれました。児童と私のやりとりを読んだある校長先生は、家庭に持ち帰って記入することを提案してくれました。保護者の書き込みもあり、家庭との一体感が生まれました。
食育活動が定着し学習指導要領にも記載されている今は、食育年間計画に組み入れ職員会議などで十分な説明をし、教育効果のある取組であることを理解してもらいましょう。
ノートの中身をいくつか紹介します。
給食ノートの1ページ |
■児童D・T =僕は1年生の時から給食が苦手で、残してばっかりだったけど努力して給食を食べています。もちろん今日も残しませんでした。揚げパンがおいしかったです。
■返事 =給食が苦手だったT君が、残さず食べられるようになったと聞いて、ほんとうに感激しました。すごい努力を続けた結果ですよね。そして、今も努力しているのですよね。エライ!(パチパチ!拍手)みんなの年齢、4年生って、とっても大事な学年なのです。小学校での節目だと私は思っています。嫌いなものがだんだん食べられるようになったり、いやだったり苦手だったことが、なんとなくできるようになったり、やってみようと思えるようになったり、というように、気分で決めるのではなく、頭で考えて決めることができる年齢なのです、4年生って。これからも頭で考えて、何でも食べられるように努力を続けてくださいね。
■児童Y・U=今日は、空がとってもきれいでした。まだ、給食を1回しか残したことがありません。なぜかというと、おいしいから、いつもおかわりして、嫌いな食べ物があっても、ゼッタイに残しまへんで~!
■返事=青空給食日和でした。目にも胸にもしみる青い青い空で、素敵な日でした。外で食べるのって、やっぱり気分がいいですよね。Uさんは、お弁当ばかり見ていたのではなく、ちゃんと空も見ていたのですね。えらい!えらい!というのは、最近大人も子供も空を見ていないらしいのです。特に夜はね。月が三日月だったか満月だったかなんて、気づかない人もたくさんいるらしいですよ。さて、これからも「のこしまへんで~」というUさんの記録を更新(記録を伸ばしたり、増やしたりすること)してもらうために、給食室も「のこさしまへんで~」と頑張りますよ。
■児童N・R=ぼくはきょうの給食で一番好きなのは、さつまるくんです。ぼくのおとうさんの田舎は鹿児島なので”紫芋のキャラメル”を送ってきます。なので、さつまいもは大好きです。きょうの給食は最高です。
■返事=N君が最高と言ってくれたのは、お父さんの田舎でよく取れるさつまいもを使った《さつまるくん》が出たからですかね。さつまいものさつまとは、鹿児島のことで、昔はさつまの国とよばれていたのです。ところで、最近紫芋のお菓子をよく見かけますね。じつは、我が家に紫芋の粉があるのですが、どうやって使おうか迷っています。N君なら何に使うといいと思いますか。さて、日本には、その土地で採れる特産物があって、珍しいものも多いです。東京は、そんなさまざまな食べ物が手に入るので、しあわせですよね。
こんなエピソードもあります。6年生が考えた献立を出した時のこと、それを考えたK君のことを幼稚園のころからあこがれていたとノートに告白した女の子がいました。このノートは他の子も見るのでどうしたものかと、専科の先生方と相談したことを思い出します。
返事をするのに心がけていたことは、短い文にもたくさん返事を書くこと、よいところを見つけ褒めてあげること、興味を持ってもらえそうなことを盛り込むことなど、ポイントは子供の心や本音を引き出せるように、また、無理に子どもに合わせず、漢字には振り仮名をし、熟語には説明を付けました。ぜひお試しを。
大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。
【2015年10月19日号】