夏休みも終わりました。夏から秋にかけては、高校野球、水泳・陸上・バレーボール・サッカーと大きなイベントや世界大会がありました。試合もさることながら、選手たちの生活に密着した番組もあり、栄養士の皆さんもそうだと思いますが、子供、保護者もスポーツ栄養・食事管理についての番組や記事に興味を持つ人は多いと思います。今、スポーツ栄養は注目を集めています。 小中学生が取り組みやすい
スポーツ栄養・食育の指導
小・中学校では、児童生徒が主体的に取り組みやすいスポーツを通して、給食や食生活との関わりと効果的な栄養摂取について伝える授業を展開しています。その一部を紹介しましょう。私がかつて勤務していた区内の教育研究会のグループで作成した授業で、発表後も継続して実施しました。
小学校「総合的な学習の時間」行事と関連した食育:地区行事‐体育大会‐に向けた『スポーツと食事』の指導
〈対象学年〉第6学年
〈授 業 日〉大会の2~3週間前
〈内容〉体力づくりのための生活習慣を含めた食事のあり方と成長期の基礎体力の重要性
〈評価〉大会という目標が明確にあるので、実践しようとする意欲が見られ、行動評価が得られやすい
図1 |
図2 |
具体的には、導入で「ファイトクイズ」というワークシートを用いて、スポーツと食事・生活の関連についての興味関心を引き出した後、パワーポイントを使ってシートの項目を一つずつ確認しながら授業を進めました。
スポーツ栄養学的には、スポーツの種類によって筋肉づくり等が違い、摂取が望ましい栄養素が変化することもありますが、成長期の児童には専門的な体づくりよりも、基礎体力をいかに作るかが重要と考えました。
大会までの練習や当日に成果を出すための基礎体力をつけるため、日々の生活を見直し、食事と生活リズムを自己管理できるよう促し、運動中の正しい「水分補給」のしかたについても触れました(図1、図2を使用)。
授業後はワークシートを返却し、授業の内容を家庭の話題にしてもらい、大会までの生活を家庭でも見守っていただけるよう依頼文も作成し、保護者の感想もいただきました。児童が生活を改めようとする様子や親子で運動を始めた、食事作りに力を入れたとの報告もあり、短期的な取組は成果が見られやすく効果があると思いました。
この指導内容は、中学校の体育祭やスポーツ大会、夏休みの部活動に向けても活用できると思います。付け加えるならば、中学校では毎日の部活動を効果的に行うためには、給食(バランスよく残さず食べること)が重要であることもぜひ伝えて下さい。
大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。
【2015年9月21日号】