昨年度は、学校における給食活動や食育活動について小・中学校の校種別にあらましを紹介してきましたが、今年度は一つひとつの活動について、実践の手立てとなるよう具体的に解説していきたいと思います。
私はこれまで様々な食育活動を行ってきましたが、最初の一歩は、あこがれの先輩栄養士の実践を模倣することでした。最初からオリジナルを求めず、実践例を模倣するのが失敗しないコツです。新年度がスタートしました、新たな気持ちでなにか一つ、実践してみましょう。
「たけのこ」を給食室前に
展示。実物展示は有効な 食育活動 |
「とうがん」の重さを考え
させ食材への興味をひく |
児童机1台あれば、明日からでも始められる食育です。その日の給食に使われる材料を1つ展示してみましょう。児童生徒が普段見ることの少ない素材や、今年初めて登場する野菜などを展示します。そこには、その展示物の紹介を書いたメッセージカードを置きます。展示場所は給食室前がベストですが、大人の目の行き届く、子供たちが必ず通る(目に入る)ところをお勧めします。管理職とよく相談して、安全な場所に設置し、子供の様子を観察してみましょう。
展示例:皮つきたけのこ、皮つきトウモロコシ、グリンピース、ソラマメ、とうがん、かぼちゃ、七草など。
また、その日使われた野菜(中学年1人分)を展示して、食べてほしい量をアピールしたり、1日にとってほしい野菜350gを展示してもわかりやすいでしょう。「知ってもらう」「気づいてもらう」など、コンセプトをしっかり持って実践すると効果を見極めやすいと思います。
さて、費用ですが、展示したものを翌日以降の給食に使用できるのであれば給食費から、それが無理であれば教材費から出してもらえるよう事務室に相談しましょう。予算会議前に、申請しておくのも一つの手です。
家庭では体験することが少なくなった活動を、生活科の時間とタイアップさせて、「グリンピース・ソラマメのさやむき(4~6月実施)」「トウモロコシの皮むき(6・7月実施)」などを行い、その日の給食に使用します。
算数と連動させた豆のさ
やむき体験 |
実施日は、年度当初に1・2学年の担任と相談し決めておくとよいでしょう。どの場合も、給食使用日当日の1校時に活動を設定する必要があります。給食室ともよく打ち合わせを行い、何時までにむき終わればよいかの目安を立てます。
当日は、むき方や観察の仕方などを担任と分担して指導しますが、事前指導の有無を検討して、資料などを用意すると喜ばれます。ポイントは、その食品に親しんでもらい、興味関心を引き出すこと。給食づくりの一端に参加することで、偏食是正につなげることなどです。見るだけではなく触れるなどの「体験」と「観察」は、貴重な食歴となるでしょう。
【2015年4月20日号】