心理職として勤務していると、保護者から「担任の先生と電話で話をしたいが、何時頃かければよいでしょうか」と聞かれることがよくあります。「放課後にならないと先生も体があかないのでは」とお答えしていますが、実際にはその時間でも余裕のないことが多いのが現状です。
教員の1日を、静岡県内の小学6年生担任の一例で見てみましょう。
■午前=7時学校着→授業等の準備→8時「朝の職員打ち合わせ」→8時20分「朝の会」→8時40分~12時20分「授業」
■午後=12時20分~「給食準備・給食・片付け指導」「昼清掃指導」「昼休みの見守り」→13時50分~15時30分「授業」→15時40分「帰りの会」→16時~「下校指導」→児童の「係活動」「生活・学習指導」等または「会議」→16時45分~「提出物への添削やテストの採点・家庭への連絡や家庭訪問等々」→帰宅
■帰宅後=19時頃「帰宅」→夕食→学校でやりきれなかった持ち帰り仕事に着手
かつて私も中学校の教員でした。当時は野球部の顧問で、放課後は暗くなるまで部活指導がありました。「荒れている学校」に勤務していた時は、問題行動の指導や対策で帰宅時間が日をまたぐことも珍しくありませんでした。
小学校と中学校では忙しさの内容が少し異なります。中学校の教員は一般的に部活指導がありますが、教科担任制のため1日1時間ほどの空き時間があります。小学校の教員は部活指導のない場合が一般的ですが、授業の空き時間がほとんどない上に、ほぼ全科目の授業を受け持っています。
もう一つ、保護者からよく聞かれることがあります。それは「学校の先生は夏休みに何をしているのですか」という質問です。児童生徒が休み=先生も休みと思っている節がありますので、「ほとんど夏休みはありません」とお答えしています。
校内研修、出張研修、会議・会議準備、行事準備、地域の仕事、日直、○○当番、部活指導、事務仕事、教材準備等々。夏休みでもなかなか年休がとれないのが現状だと思います。私が中学校教員時代は土日の部活指導もあったので、年間で数日程度しか休むことができませんでした。
このように教員は、多忙な勤務の中で保護者との関わりの時間を作り出している現状がありますし、「まめに児童生徒の家庭と連絡をとりたい」「保護者との連携を密にしたい」、そうすることで児童生徒のために「家庭とのポジティブなつながりをつくりたい」と思っているのです。
しかし限界があります。こういうジレンマを抱えながら日々教員は生活しているのです。心理職として「児童生徒や保護者のしんどさ」だけではなく、「教員のしんどさ」も少しでも緩和できればと思ってます。
忙しく多岐にわたる仕事に日々追いかけられ、中には、燃え尽きる一歩手前で精一杯1日1日を過ごしている教員もいます。そういう教員を認め、賞賛してあげてください。保護者と教員が互いに認め合うことが、児童生徒の教育に活きてくるのです。
本稿では「なかなか見えにくい教員の多忙さやしんどさを保護者や世の人が知る機会が少ないのでは」という思いから、心理職として学校に携わっている身として代弁しました。そして、教育に携わる者として「PTA」という支えあうチームづくりが促進されていくことを祈っています。
【2014年8月18日号】