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学校施設

第7回【教職員のメンタルヘルス】教職員と児童生徒のメンタルヘルスは直結

2014年1月1日
連載

「朝」と「帰り」の職員室でよりよい学校風土を築く

■提言1 あいさつに包まれた職員室環境をつくろう

筆者は巡回相談で学校訪問する際に、職員室で朝のあいさつをするようにしています。多くの先生方から「おはようございます」という元気なごあいさつをいただくことがあります。

一方であまり反応がない場合もあります。単回の訪問が多い私でも、その雰囲気によって1日のスタートの「心模様」が左右されます。

先生方は毎日同じ職員室に通うわけなので、次第に職員室の雰囲気の影響が蓄積していきます。その「心模様」は教室の子どもたち(児童・生徒)のメンタルに大きな影響を与えることでしょう。

特に朝の教室で、担任の先生が子どもたちと出会う瞬間は、一日の教室の雰囲気に影響を与えます。朝の職員室が温かいあいさつの輪に包まれ冗談の一つも交わされる場であると、先生も笑顔になりその残像のまま教室へ向かうことができるでしょう。

余談ですが、ある学校では登校時や休み時間に校内放送でリラクゼーション音楽が流れており、とても癒されます。

■提言2 学校全体で無理のない仕事の終了時間を一定化できるように声を掛け合おう。そして先生も生活のリズムを整えよう
■提言3 仕事はチームで補い合い、助け上手、助けられ上手になろう

筆者の研究で、教師の勤務時間の長さとメンタルヘルスの間に関係があることがわかりました。その研究でわかったことは、勤務時間が長い(平均12時間以上)先生は、不安や抑うつ、怒りなどのネガティブな感情が高まる傾向にあるという内容です。そして、子どもに対してもネガティブな態度をとりやすくなる傾向があることがわかりました。具体的には次の通りです。

  • 子どもと関わるのがわずらわしく感じる
  • 子どもの行動や言動に腹を立てやすい
  • 子どもに自分の気持ちを押しつけてしまいがちだ

この研究からは「定時に仕事を終え帰宅すれば、良いメンタルヘルスを維持できる」とは単純には言えません。長時間勤務でありながら日々の仕事が充実していて、良いメンタルヘルス状態を保っている先生もいるからです。

メンタルヘルス上問題となるのは、「自分の許容範囲以上の仕事や問題を抱え込み、仲間と雑談する余裕もなく日々強いストレスを感じながら長時間仕事をしている」場合です。

このような慢性的なストレスにさらされている先生は、子どもに対してネガティブな態度をとってしまいがちになります。その影響を受け、子どもたちにも様々な弊害が出ることになります。不登校、いじめ、学級崩壊、体罰、セクシャルハラスメント等の問題につながる可能性も危惧されます。

学校外の「助け上手」な人材の力も借りて実践

一度「朝の職員室」と「帰りの職員室」という視点から、よりよい学校風土づくりとして点検してみてはいかがでしょうか。

そして、本連載の第5回で紹介されました川口市の取組みのように、学校外の助け上手な人材である教職員専門のカウンセラー(教職員メンタルヘルスカウンセラー等)の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

最後に、本稿のキーワードをまとめて閉じたいと思います。
「あいさつと雑談に癒される学校」
「先生自身の生活リズム」
「助け上手、助けられ上手」

執筆=鈴木隆広(すずき・たかひろ)日本教職員メンタルヘルスカウンセラー協会 (http://web.thn.jp/JTMC_since2012/)会長、神奈川県内(市町教育委員会)教育相談スーパーバイザー

【2014年1月1日号】

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