市原市立ちはら台南中学校では、教職員研修と健康教育の両面から熱中症対策を行っている。その中核として活動する斎藤裕子養護教諭に話を聞いた。
同校では生徒保健委員会の生徒が、全校集会で健康教育を啓発するための発表を行っている。「保健委員会の生徒がリーダーとなり、子供から子供に指導ができるような仕組みを作っていきたい」と斎藤養護教諭。発表のテーマ設定や準備は生徒が主体となって行う。昨年の生徒集会では、熱中症の予防・対処を伝える寸劇を発表している。
発表材料となる情報の中には誤ったものある。「誤りを指摘すると生徒は新たな方法で情報を収集しようと試みる。試行錯誤した分、知識も身につきやすい」。伝え方や必要な情報はヒントを提供し、生徒自身に考えさせるよう努めている。
水分補給については、生徒が水筒等を持参し体調管理のひとつとしている。5月になると、日頃の生徒への指導、対策もより細やかになり、スポーツがさかんな同校では、部活動中に顧問が休憩のとり方や効果的に体温を下げやすい服装や着方などを部員に指導。生徒が自ら意識できるように継続的に伝えている。体育祭シーズンには、水道につなげて使用するミストシャワーを、生徒の移動が多いグラウンド近くの通路に設置。グラウンドは反射熱があり体感温度も高く感じるため、気温や湿度が高い日は熱中症計で頻繁に計測を行う。事前に熱中症対策資料を配付しているが「活動に熱中するあまり無意識のうちに、自己管理がおろそかになりがち。強制給水の時間を設定したり、休憩時には身体を休めるために校舎内等でゆっくり過ごすようアナウンスしている」
中学生でも体調を崩し嘔吐する生徒が多い。嘔吐物の処理を安易に考えると感染症拡大につながるため、年に1度は教職員の研修を行っている。
千葉県養護教諭会調査研究委員会が作成したパワーポイント「感染性胃腸炎の対策(基礎編・実践編)」を利用し実態に合った研修に取り組む。消毒方法や予防策を保健便りに掲載し、生徒や保護者にも情報提供を図っている。
「特定の職員に頼らず全職員が消毒や対処方法を正しく理解し、嘔吐物を汚いものではなく危険なものと認識することが重要であり、子供たちが安心できる考え方や環境の整備にも気を配りたい」
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年6月18日号掲載