横浜市立新井中学校では、学校保健委員会を年2回開催し、「生徒の心と体の成長を促す活動」を関係団体の協力を得て行っている。横浜市学校保健会支部大会や総会では「養護教諭の役割や専門性」を広く知ってもらうための活動も行った。
同校は全校生徒250名の小規模校。大規模校からの異動後、1番に感じたことは、生徒の「体の使い方と体で表現するパフォーマンスの低さ」だった。「小規模校は部活動数も少なく運動能力の高い生徒からの刺激が少ない」。
大半が地元の小学校からの進学で、友人関係も“小学校からの延長線上”のため、友人関係作りにも表現力の低さが表れていた。
そこで昨年度の全校学校保健委員会では「からだのバランスを整えよう」をテーマに、ダンスカンパニー「MOKK」を招し、奇抜でわくわくするダンス鑑賞と体づくり体験を通し、様々な身体表現・コミュニケーション力・感情表現力を学んだ。初めて見るダンスに「こんな表現の仕方があったんだ」と生徒たちは驚嘆。様々な動きを通して豊かな心身の表現方法を学んだ。
さらに今年度は「障害者スポーツを学ぼう」をテーマに、障害者スポーツ支援を行う「横浜ラポール」の協力で、車いすバスケットボール体験を実施した。並行して事前に福祉学習により障害者理解を深め、環境保健委員会の生徒は施設見学を行い、様々なユニバーサルデザインや障害者を支援する工夫を学んだ。「福祉の考え方を通じ友人との接し方を振り返り、自分の心と向き合う機会にしたかった」。全校学校保健委員会当日は、車いすの操作やゲームルールを学び、車いすバスケットボール選手チーム・生徒チーム・先生チームによる試合を実施し、体育館が応援と歓声に包まれ大いに盛り上がった。障害のある方々と共に生きていくことへの理解が深まり「街で障害のある方に出会ったら声をかけたい」と語る生徒もいる。
学校医や保護者、校長、養護教諭が集まる横浜市学校保健会支部大会では、養護教諭の仕事、役割、その専門性について分かりやすく伝えた。中学校においては子供たちの心を整えるために、どのように接しているのかを伝えた。
「養護教諭の子供への対応は保護者から見えにくい。日頃の関わりを知ってもらい、養護教諭を理解していただければ」という。参加した保護者から「中学生の時は気持ちが混乱すると保健室に行きました。心を整えてくれたのは保健室の先生でした」と感想をもらった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年2月19日号掲載