学校は、教員、養護教諭、事務職員、相談員、校務員等、様々な職種の人で構成されています。そのため、ひとたび生徒指導事案が発生すると、全教職員で解決にむけて取り組むことが求められます。その過程では、職種の違いがあっても、それぞれのメンタルに様々な影響を及ぼします。今回は、特に教職員、養護教諭、相談員等、児童生徒に直接係る人達へのメンタル面への影響を最小限に抑える方策について考えます。
生徒指導上の諸問題は、ある日突然、突発的に発生することはまれであり、必ずその端緒となるエピソードや伏線となる出来事があるはずです。その些細な出来事への対応を疎かにすると、一気に大きな事案となってしまい、解決に向けての時間と労力は、予防に要する時間と労力の何倍にもなります。予防的対応として、最低限心がけなくてはならない視点は次の通り。
(1)学校組織として、生徒指導場面での個々の役割を年度当初に明確にする。
このことで、職員相互が個人、学年の枠を超えて、チームとして対応する意識と責任が明確になります。
(2)些細なことでも「一度決めたら全員でやりきる」ことを共通確認する。
集団生活において、一度後退させたラインを元に戻すことは難しいです。必ず指導できる最低限のラインを明確にし、同一歩調で指導することが必要です。
(3)職員同士が困った感や不安感を、気軽に話し合える職場の雰囲気を、管理職自らが創り上げる努力を、日常的に実践する。
『いつ、いかなる時でも、いかなることでも、最後の責任は私がとる』との姿勢を、明確に職員に示すことで、職員の一体感が醸成されます。
(4)どんな小さな出来事や些細なことの情報でも、全教職員がその情報を共有できる体制を整備する。定期的な会合以外でも、常に全教職員が情報共有できるシステム(校内PC掲示板等)を年度当初に整備する。
完璧と考えられる生徒指導体制を構築し、全教職員が一丸となって取り組んでいても生徒指導事案は発生します。そのことを肝に銘じ、客観的な視点を忘れずに、『辛く、苦しいのは自分だけではない』との想いで、仲間を心理的に孤立させない姿勢で対応することが、予防的視点を考える上で、とても大切なことです。「生徒指導は、すべてにおいて、時間がかかり面倒なものである。しかし、解決した時、児童生徒は何事にも代え難い喜びを得る」。この言葉を信じ、全教職員が気持ちを一つに取り組むことで、メンタルリスクを軽減できます。