■学校における一人職
以前、同僚の栄養教諭が療養休暇に入りました。急なことで、教頭先生が仕事を引き継ぎましたが、給食室の人的配置、業者との連絡、支払いや集金、食数の確定、期限のある文書提出など大変な様子でした。一人職の方がいかに大切な役割を担っているか改めて実感し、その仕事を知らなさすぎたことを、同僚として反省しました。
養護教諭として幼稚園から大学まで勤務した同僚から相談を受けたときは、いかに経験豊かでも異動1年目は大変辛い思いをすることを知りました。自分の意図がうまく伝わらず誤解を受けたり、疎外感を感じたりしたそうです。
■一人職のわかりづらさ
栄養教諭、養護教諭、事務職員は、職員室以外での勤務時間が長くなります。他の教職員と離れて1人で仕事することから、お互い積極的に関わらないと、相手の職務内容や大変さを共感的に知ることが難しいでしょう。特に異動1年目の一人職は、前任者の仕事の影響や、1年間の見通しを持ちづらいこと、一から構築しなければならない対人関係などで、とても大変だと思います。
■良好な人間関係づくり
私たちは学校を職場とする専門家チームの一員です。目的は一つ、「子供のより良い成長をどう支えるか」。その目的達成のために、職場がどうあるべきか、構成員各自が考え、作り、変えてゆく意識が必要です。より良くするには、私たち自身が互いに良好な人間関係を築き、コミュニケーションを活発に行うことが必要です。そして「誰にとっても居心地の良い職場」にすることが一番です。
居心地の良い職場では各自の個性が発揮され、個としても集団としてもモチベーションが上がります。そしてチームで問題解決することでチーム力の向上にもなり、個々の自信にもつながります。このような、好循環を校内に生み出したいと思います。
■「知る」ことの大切さ
では、どうしたらこの好循環を職場で作れるのか。私はまず「知る」ことからだと思っています。身近な方々の思いを知ることで、そこに気付かされました。特に一人職の方々を「知る」ことです。同僚の仕事内容や仕事の方法を知る、アプローチの中にある意図や思いを知る、何を得意とし苦手としているかを知る、何にストレスを感じているかを知ることです。一人職の方は精神的に辛いとき、自分なりの対処法を持っています。しかし「部屋をのぞきに来て、話を聞いてほしい」という声も多く聞きます。
私たちは毎年新しいチームになります。変化はストレスです。しかし学校を作りかえるチャンスとも言えるのです。子供たちが日々成長するように、私たちも日々成長し、学校を活性化し新しい同僚と協働できるチームを構築していきたいと思います。
今後10年で職場の年齢構成は大きく変わります。今だからこそ、10年後の学校を支える同僚とその基盤を作ることが、子供たちの成長を支えることになると信じます。
異動1年目の極意 |
~ 異動の経験豊かな養護教諭から聞いた心がけ 10カ条 ~ |
・困ったことは職場の先輩や管理職に話す |
・聞きたいことは相手のタイミングを見計らって聞く |
・「ほう(報告)れん(連絡)そう(相談)」は迅速に丁寧に |
・職場でのマイナスな気持ちを引きずって帰らない |
・1年目は失敗するものと覚悟して臨む |
・引き継がれた子どもの情報を何度も繰り返し確認する |
・保健日誌に気になること、指導を書きこむ |
・見返りは求めない、?してあげたのに…と思わない |
・時間の使い方の工夫(テスト時にまとめて事務仕事など) |
・まずはあいさつから、誰とでも気さくに話をする |