一校を預かる校長が何よりも心がけなければならないのは、部下である教員をいかに気持ちよく、コンディションを整えて教育に専念させられるかです。何故ならば校長は日々教員のように子供と接する機会が少ないからです。その学校の教育力を握るのは校長のリーダーシップと共に、教員の「やる気と心身の健康」にかかっているといっても過言ではありません。
新年度の学校は、異動教員や新任教員が赴任し現存する教員とともに新たな組織体制でスタートします。そのスタートを前に校長は学校経営の視点の一つとして、教員の心身の健康という観点をもつことが肝要です。即ち、ラインケアを心がけるということです。
管理職になると責任感や焦りから、部下の教員に対してともすると上から目線になったり、意に添わない教員を見下すように振る舞ってしまうことが見受けられます。しかし、校長や教頭(副校長)、主幹教諭のこのような振る舞いは、かえって学校経営にマイナスとなる方が多いようです。
ラインケアとは「管理監督者が教員への個別指導・相談や職場環境改善を行う取組」のこと。管理職として部下のコンディションに気を配る視点が大切であることは、昔から変わらないと思います。
ラインケアは校長が中心で取り組むものですが、教頭(副校長)は校長を補佐し、その代理を務める立場で、主幹教諭は校務を司る補佐役として、校長と心を会わせて取り組むことがその組織を円滑に動かす原動力になるものです。
校長のラインケアの心がけ | ||||||||
|
校長の心がけとしては
①教員に具体的なストレス要因があった場合にはその改善を図る立場にある。
②上司と部下の関係そのものがストレス環境となることを理解すること。
③組織全体を健康にするための要である。
教員の業務は複雑化、多忙化していることから、ストレス、うつ病、パワハラ、セクハラなどの現象が生じることを予想し、予防に努めること。それが学校経営が円滑に進められる秘訣として挙げられています。
また、校長の具体的なラインケアとして
①一般教員=家庭環境、生活環境の把握と変化への見極めを行う。
②ミドルリーダーを育てる=中堅教員には若手集団をまとめる任務を与え学校運営の一翼を担っていることの自覚を与える。
③新任教員=極度の緊張がある。子供が好きか?そうでもないか?見極め、保護者対応のノウハウを指導し、現状把握をしアドバイスを欠かさないこと。
④転勤50歳代の異動教員=往々にしてプライドから新しい職場に慣れずストレスをためている。心情を理解し、発想の転換をすすめる。声掛けを多くする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
校長は部下を先導する責任あるポジションです。自らの人間性や知識を磨き、よりよい組織の基盤をつくることが重要です。教員が意気に感じて教育に勤しめれば校長としてこの上ない喜びです。