新聞を定期購読している家庭数は年々減ってきています。特に、若い独身者の新聞購読率はとても低く、新聞に限らず書籍、雑誌なども読まない、いわゆる活字離れは確実に進んでいます。テレビが一般家庭に普及した昭和40年代、新聞は衰退するのでは、と危惧されたことがありましたが、テレビの普及のあおりを受けたのは新聞ではなく映画や芝居・演劇などでした。テレビはニュースも放送していますが、バラエティー番組やドラマが主で、多くの人はテレビを身近な娯楽としてみており、新聞とテレビではその役割が異なっていたためです。戦後昭和20年代には落語・漫才などを演する寄席や芝居小屋が都区内の至る所にありました。しかし、テレビの普及でそれらは衰退しました。隆盛の裏には衰退したものが必ずあるものです。
では、どのような原因で新聞の購読数が減ってきたでしょうか。新聞と同じような働きをしているツール(情報、ニュース、意見を伝える)としてインターネットがあります。パソコンがなくとも携帯電話、タブレットなどの端末から手軽に早くアクセスすることができる、費用がほとんどかからないなどの利点が、新聞購読者の減少に拍車をかけていると推測されます。
紙焼きの新聞の他に、インターネット版も提供している新聞社は増えていますが、導入を始めた当初に無料で配信していたことなどが影響し、加入数は芳しくないようです。
しかし、インターネットの情報・ニュースの多くは個人などが自由に投稿し、その出所や真偽が分からないものが多いことも事実です。「インターネットで調べた」という言い方をよく聞きますが、正しくは「インターネットで検索した」というべきです。自分で事実や正誤を確かめながら情報を集めることは重要で、利用者は掲載されている記事のどこが事実で、どこが個人の意見・感想なのかをきちんと認識する必要があります。
全国には、70~80ほどの代表的な一般紙(全国紙、地方・ブロック紙)や専門紙があります。数万人の記者が取材し、整理部などで事実を確認したものを校正して紙面を作っています。紙面審査会を設けている新聞社もあり、一つひとつの記事の検証を行っているのです。書きっ放しのネットとは訳が違いますね。
また、新聞は学習材として役に立つだけでなく「社会の今を知り、先を考える」上で欠かせません。多くの人に日々新聞を読む習慣を身にづけて欲しいものです。読めば読むほど面白くなるのが新聞なのです。