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学校給食は食育の教材【第37回】「和食の日」に向けて(2)

2017年11月27日
連載

日本型食生活をお手本に和食推進

和食の日(11月24日)には、様々な催しがあり、参加された方も多かったのではないでしょうか。

さて、前回和食と日本食(日本料理)の違いについて問題提起を致しましたが、もう一つのキーワード「日本型食生活」を取りあげてみたいと思います。

4.「和食」の価値とは

(1)戦後の栄養改善にみる栄養指導

第2次世界大戦後、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥が「我が輩は米と魚と野菜の貧しい日本人の食卓を、パンと肉とミルクの豊かな食卓に変えるためにやってきた」と豪語したことは有名ですが、アメリカの経済援助で小麦粉を使ったパンと脱脂粉乳の学校給食が実施され、子供たちは命と成長を保証されました。同時に、パン食が普及し食生活の洋風化推進へとつながっていくのです。

昭和30年には、栄養指導のバイブル「キッチンカー(栄養指導車)」を使った栄養士による栄養改善運動が全国で行われたと聞きます。当時としては画期的な実演指導で、和洋中華の料理の指導を通しておかずを食べることが重視され、おかずの比重が以前に比べ増加していきました。その中で、米と魚と野菜の日本の伝統的食生活に代わり、肉類を使った欧米風・中華風の食生活が普及していったのです。昭和40年代初頭になってようやく米の自給が達成される頃には、日本人の食事におけるタンパク質・脂質・炭水化物のカロリー比率は理想的と言われ、このバランスのとれた食生活のおかげで日本人の健康は目を見張る改善を実現し、平均寿命が世界トップクラスになっていったのです。欧米諸国とは異なる日本型食生活ともいうべき食事パターンがあり、米を主食とした伝統的な食習慣が大きな影響を与えたことが農政審議会(昭和57年)で報告され、「80年代の農政の基本方向の推進について」の中で「多様性がありかつ栄養バランスのとれた健康的で豊かな食生活」と定義されました。そして翌年には、米を中心に多種多様な食品を摂ることで動物性脂肪や砂糖の摂りすぎを避けるという「日本型食生活」を提唱するに至りました。

(2)「日本型食生活」の利点見直す

日本型食生活が提唱されてから35年余りが経ち、そのカロリーバランスの崩壊が危惧されていました。そんな時、ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録され、日本にとって健康を見直す絶好期となったわけです。「和食」の価値を見直していきたいものです。

5.できることからやってみませんか

私はまず、大人もよく知らない和食のいただき方を子供と一緒に学んでいこうと考えました。高学年を対象に、和食給食の日を設定してランチルームなどで給食を実施しました。名付けて「おすまし御膳」。洋食マナー「おすましランチ」とタイアップさせました。

最近では和食作法を学習する学校は多く、子供向け和食のマナー本や食器メーカーによる和食器の貸出しなども増え、学校で実施しやすくなりました。和食献立の日に、「はしの持ち方・使い方」の指導をすることから始めてみるのもいいですね。食器とはしの扱い方などは家庭向けのおたよりと併せて指導するとより定着すると思います。ぜひお試しを。

来月の献立何にしよう?

冬の和食献立のヒント

主食:石狩ずし、ほたてめし、広島かきごはん、昆布ごはん、ほうとう

主菜:ワカサギの南蛮漬け、鯖のみぞれかけ、あんかけ卵焼き、おでん

副菜等:すいとん、吉野汁、のっぺいじる、揚げ出し豆腐、大学芋

 

大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、順天堂大学、武蔵野栄養専門学校講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。

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