第8回は三芳町立竹間沢小学校を訪問。全校児童の健康状態を分析し、地域学校保健委員会や日々の学校生活の中で保護者と共有しながら、サポートを行う松浦希乃養護教諭に話を聞いた。
小中学校が連携して健康課題に取り組むため、同校のある三芳町では3つの中学校区ごとに地域学校保健委員会を設置している。今年度は校区内3校のうち、同校が主催校となった。
定期健康診断の結果を広い視野でとらえたいと考えた松浦養護教諭は、平成5年からの診断結果を項目ごとにグラフ化。保護者や学校医と、児童の健康状態の変遷や現状課題を共有した。
「町の歯科保健事業と、小中学校の養護教諭が協力して行う就学時健診での保健指導により、う歯は減少している。一方視力低下時期の低年齢化など、長いスパンで見ると明らかになる課題もある。保護者と共有し、子どもの生活の様子から効果的な改善策を模索していく」
結果報告後は保護者間でのグループワークを実施。小中学生の生活状況から、現状課題と今後見直すべき生活習慣について意見を交わした。
「児童数の少ない本校で開催すると、会が小規模になる心配があった。保護者が参加しづらい雰囲気をなくそうと考え、グループワークを導入した」と松浦養護教諭は語る。
小中学校の保護者間での意見交換や学校医の講演など保護者が満足す内容となった。
日頃の健康管理を充実させる取組として、生活習慣を記入させる「元気生活カード」も実践し、分析している。
朝食の有無や就寝時間、歯磨きなどの項目に加え、持ち物点検や家の手伝いについて児童自身が表に記入。
生活のリズムが崩れやすい長期休み明けに実施することで、児童が生活習慣を整え、スムーズな新学期がスタートできるよう促している。「表に書くことで、自分の生活が良く分かった」と感じている児童も多く、自己管理の意識が高まっているという。
松浦養護教諭は、結果を多面的に分析し、地域学校保健員会で提示。「学習準備や家の手伝いなどの項目でも、生活習慣との関連性を見ることができる。生活習慣が乱れがちな児童に忘れ物が多く、学校生活に適応しづらい傾向が表れているが、継続して実践し、少しずつ改善させていきたい」
健康管理が学校生活全体の充実にもつながることを伝えている。
「小中学生が参画した会では、充実した中学生の生活がわかり、小学生の期待が高まった。地域学校保健委員会は、家庭や地域と連携し、広い視野で健康教育の取組を推進できる」と話す。