今年度創立70周年を迎えた板橋区立板橋第二中学校は、全校生徒371名の中規模校。家庭教育と学校教育の連携について、特別支援教育コーディネーターを務める森山みちる養護教諭に話を聞いた。
同校では、週に1度、カウンセラーが来校し、学校や家庭に悩みを持つ生徒・保護者との面接を行っている。
「本校の場合、勉強や人と関わる中でのつまづきにより、悩みを抱える生徒が多い」と森山養護教諭は話す。それらが原因となり、不登校につながるケースもあるという。
そのため、面接の時間調整や内容共有の仲立ちを行う時、生徒と保護者の立場を考慮した対応を心がけている。特に、学校との連絡のやりとりが不慣れな保護者へのフォローは大切だ。
「面談の内容は、デリケートな悩みが多い。保護者が責められていると感じないよう些細な言葉にも気をつけなければならない」
事前に保護者や生徒との信頼関係を築いておくことで、面接のスムーズな進行につながるという。
日頃から他の教員にも、保護者と連絡を取る際の話し方などをアドバイスしている。
「学校からの突然の電話に、保護者は悪い知らせではないかと構えてしまう。まずは学校での生徒の様子を伝えるなど、話の仕方を工夫する必要がある」と話す。
カウンセラーの不在時には、保護者の相談を直接受け、対応することも。そのため、日頃からカウンセラーと密に連絡を取り、情報共有を欠かさないようにしている。
同校では保護者に気兼ねをし、気持ちを伝えられない生徒が増えているという。
体調不良の際に保護者の迎えを促すと、「親に悪いから」と断り一人で帰ろうとするなど、親に頼れない生徒もいる。
「家庭で親との関係がうまく作れていないのではないか」と考え、毎月発行する保健だよりの内容を一新。育児に関する書籍や新聞、雑誌を参考に、親子の関係づくりを支える情報を提供するよう心がけた。
「子供の褒め方のコツ」や「親から言われてやる気をなくす言葉」、試験前には「結果ばかり気にしがちな子供への接し方」など学校行事や生徒の傾向に合わせた内容を掲載している。
「家庭が子供にとって安心できる場所でなければ、生徒は成長できない」と語る。
一昨年からは保護者からの要望を受け、保健だよりの内容をもとに「家庭教育学級」を実施。
家庭環境の改善に向けて意欲をみせる保護者に対してはアドバイスを行った。
第1回は「素敵な親になるために」というテーマで子供と話す際の言葉の使い方などを伝授。
保護者からは「家庭で普段使っている言葉にも気をつけていきたい」などの感想が聞かれた。
「子供との関係づくりなどは、自分自身の勉強になるので今後も続けていきたい」と意気込む。