わたしは本業は作家ですが、文芸作品等の著作権を守るための活動を続けてきました。当協会の副理事長をつとめております。
教育現場で担任の先生がドリルを作るために、教科書の一部をコピーして配布したり、副教材として文学作品の一部を転載した資料を作成するのは、著作権法第35条に権利制限であると明記されています。
権利を制限するというのは権利の剥奪を意味するのですが、私権である著作権よりも、生徒の学ぶ権利を優先するということですし、わたし自身が生徒であったころに、担任の先生が心をこめて作られた副教材で学んできました。
従来の権利制限は紙のプリントを配布する場合に限られたもので、昨今のように先生が作成した資料を生徒の端末に送信する場合には、公衆送信権という別の権利が関わってくるため、著作権法を改正して、これも権利制限に含まれることになったのですが、すぐに消尽する紙と違って、端末のデータは長く残ってしまうことになるので、著作者に補償金を支払うことになりました。
当協会はこの補償金を管理し分配する団体です。
このことを通じて、作家や音楽家、写真家、イラストレーターなどの創作者にとって、著作権というものが大事なものであるということを、現場の先生方や生徒さんに、再認識していただければと期待しています。