慢性的な教員不足を背景に東京都教育庁は学校で働きたいと考えるペーパーティーチャーや教員免許を持っていない人を対象にオンライン説明会「学校でのキャリアのはじめかた」を3月2日に初開催した。①「正規教員として働く」、②「臨時的任用教員・時間講師として働く」、③「教員をサポートする職として働く」、④「サポーターとして活動する」の雇用形態別に4つのテーマに分けて説明が行われた。今後も説明会などを通じて、学校で働く魅力を伝えていくという。
■学校に慣れるため任用前に現場を体験
東京都で正規教員として働くには、年1回の公立学校教員採用候補者選考に合格する必要がある。また免許を持たないが教員を希望する人の社会人特例選考は、25歳以上で民間企業などを含む社会人経験が2年以上ある人が対象。免許取得期間猶予制度を利用して受験可能で、免許取得後に教員として採用される。
合格後のフォロー体制では、任用前学校体験制度として採用決定後から任用されるまでの間に採用校で学校現場を体験し、学校環境に慣れることができる。また、学び直しができる任用前講座を用意している。
メンタルヘルス面でのフォローでは、若手教員育成研修で教員としての基礎的・基本的な知識・技能を身につける。また、小学校の新規採用者が学級経営研修生になると、新人育成担当の教員がつき、1年間にわたって学級経営や授業を一緒に行っていく。
■臨時的任用教員・時間講師として
正規教員以外にも臨時的任用教員や時間講師として働くケースがある。23年度からは「前倒し任用」を開始。前任者と最大4か月間、一緒に働くことが可能で引き継ぎがスムーズに行える。
時間講師は主に教科の授業のみを担当。自分の都合に合わせた勤務ができて、仕事との兼業や複数校での勤務も可能。臨時的任用教員や時間講師は年間を通して募集している。都教委のWebサイトから申請でき年齢は問わない。Webで申請後、400字程度の書類選考となる名簿登載選考を受験。合格すると候補者名簿に登載され、学校から任用の連絡が届くほか、自身で学校の募集案件に応募することもできる。面接して学校との条件が折り合えば任用決定となる。
■教員をサポートする職として働く
教員免許を持たないが子供と接する仕事に興味がある、自分のスキルを活かして学校現場をサポートしたいという人に。スクール・サポート・スタッフ、エデュケーション・アシスタント、副校長補佐などの職がある。
小中学校で働きたい人は各区市町村教育委員会、高等学校や特別支援学校で働きたい人は都教委のWebサイトで募集状況が確認できる。
(公財)東京都教育支援機構はマッチングサービスとして、学校活動に意欲のあるサポーター(個人、企業・団体)に学校を紹介するとともに外部人材を必要とする学校や教育委員会にサポーターを紹介する、TEPROサポーターバンクを運営。今年1月末時点のサポーター登録状況は、個人8516人、団体181。年齢制限は無く、学生や主婦など様々な人が登録。「学習支援」、「教職員の事務支援」、「部活動支援」、「ICTの支援」、「心理・福祉の支援」など8項目で登録を受け付けており、オンライン研修などのサポートがある。活動形態は「有期労働・パートタイム」、「有償ボランティア」、「無償ボランティア」の3種類となる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年3月18日号掲載