(一社)東京都小学校PTA協議会(都小P)は今年7月9日の理事会で、(公社)日本PTA全国協議会(日P)を今年度末で退会することを決議。その理由として「お互いの目指す活動の方向性が違うこと、日Pに負担する会費・労力を別に有効利用したい」と説明する都小P会長・岡部健作氏に、退会決議までの経緯や今後の会運営について聞いた。
「日Pに納める会費に対して得るものがあるのかという議論は以前からあった。会費が10円に引き上げられた2011年にも退会も含めて検討をしたという経緯がある。コロナ禍が始まった2020年から、都小Pは、従来通りの活動・事業の在り方で良いのか議論し、これを見直す組織改革に取り組んできた。今年度はその3年目で、都小Pの活動内容は大きく変わっている。そんな中、6月18日の総会で日P退会について協議を開始することが決まった。理事会では退会支持が多数だった」
「日Pと話し合ったが、各単Pを支えたい私達と、日Pや文科省の活動を伝えたい日Pとの方向の違いを感じた。それでもつながりを維持する意味があるのかを考えた結果、納める会費や会議参加等にかける労力を、会員に還元する方がより有効だと結論した」
「理事会では、文部科学省とのつながりがなくなる、区市P連や区市P連から単Pの脱退が増えるのではないかなどの意見があった」
「都小Pは東京都の所管団体なので、『教育条件要望書』を毎年提出するなど都教育委員会とも連携して活動しているが、今後もその関係を深めていくことに変わりはない。また今日までP連や単Pの退会につながるという動きはない」
「直接には『広報紙コンクール』、『三行詩コンクール』への作品推薦がなくなり、日Pの会議への参加がなくなる」
「コロナ禍により中止している『私たちの先生表彰』、『バレーボール大会』、『親子防災体験』などの主催事業は今後の開催について検討している。また情報発信をよりタイムリーにするため、広報紙「WebPTA東京かわら版」「Web PTA TOKYO」はデジタル化し今後はWeb配信も検討している」
「日Pへの会費を払う意味についての議論は、P連や単Pにとっては都小Pも同じ立場にあることを認識している。会員にはメリットだけを感じていただきたいと考えている。単P、P連から意見を出していただき、運営や事業に反映していきたい。9月に、オンラインで『都小Pの未来を語る会』を初めて開催する。都小P会員限定で、会員のニーズを直接聞ける機会となる」
「具体的には各単PのIT支援をはじめとするPTA支援に力を入れている。任意団体では、契約自体が難しいので、300人までオンライン会議ができるZoomの教育ライセンスを都小Pが契約して各単Pが利用可能となる交渉をした。利用料は都小Pが一部補助するので、年間6000円で使える。また、都小Pが非営利法人として承認を受け、非営利法人向けに提供されるサービスにより、GoogleWorkspaceやOffice365E1のアカウントやライセンスを会員単Pに無償で利用していただいている。使い方の説明のためのミニセミナーは、多くの方に参加いただき、ニーズの高さを感じた」
「都小Pは2020年に規約改正し単Pも正会員として入会できる。渋谷区など現在25校が入会している。イベントの動員や理事、委員への就任も不要で、都小Pが会員向けに提供するサービスを利用できる。私達は直接子供のために活動をしている単Pを支援していきたい。要望を都小Pにお寄せいただき、都小Pを役立ててもらいたい」
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年8月15日号掲載