学校法人郁文館夢学園(渡邉美樹理事長)が運営する郁文館高等学校・郁文館グローバル高等学校は、高校生起業家の輩出を目指し、今年6月から1年生を対象とした授業「高校生社長講座~起業塾」をスタートさせた。今年度は受講を強く希望する32名の生徒が入塾。卒業までの3年間をかけて、起業するために必要な知識、経営戦略や事業運営、ノウハウなどを学ぶ。起業経験を持つ渡邉理事長による指導や様々な業界の社長による講演に加え、9月末に開催される文化祭では株式(模擬)を設立。プレゼンを経て教員や保護者から資金調達し、模擬店出店を目指す。東日本大震災の被災地域の食材を使用し、売上の一部はカンボジアのトイレの無い学校や西日本豪雨の被災地に寄付する予定。
社長講演では(株)日本創造教育研究所と提携。3年間で中小企業の起業家・経営者(7業種14社)による講演を実施していく。7月10日の授業には、IT活用による企業の生産性向上支援サービスなどを手掛ける(株)エクストの高畑欽哉代表取締役社長が登壇。AIの進化などIT業界を取り巻く急激な環境変化を分かりやすく解説し、同社の経営ビジョンの設定背景にも言及した。リーマンショック後のすばやい事業転換など、自社で時代に沿ったサービスを展開する同氏は、経営に必要な力として、「ビジョンを指し示す力」「自己開示して人を惹き付ける力」「自分より能力の高い人と協働する力」などを挙げる。
生徒からの「今後AIとどう向き合うべきか」という問いに対しては、「今存在しない仕事がどんどん生まれてくるが、自分が仕事を生み出す側と受ける側のどちらになるのか、という視点を持っておいて欲しい」と答えた。
授業を終えて、生徒の鈴木七海さんは「将来の夢はペットの殺処分ゼロを目指す事業を立ち上げること。ボランティアではなく、起業を通して利益を生み出し社会に貢献したい。高畑社長のビジョンの持ち方は自分の夢にもつながると感じた」と話した。社会科の都筑敏史教諭は「夢が具現化したことで、生徒は能動的に動けるようになってきた。今後は人として自立できるよう精神面も強化させていきたい」と、生徒への期待を語った。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年8月20日号掲載