学校法人成蹊学園は、持続可能な社会の担い手を育む教育(以下、ESD)の拠点として、4月1日に「成蹊学園サステナビリティ教育研究センター」を開設した。これまで実践してきたESDの蓄積と、小中高から大学までが併設するワンキャンパスの利点を生かし、学園全体でESDを推進する。
同学園では学園創立以来、100年以上にわたってESDに力を入れてきた。国内大学におけるESD研究センターはまだ数少ないが、小学校から大学までが連携して取り組む例としては国内初。
特に体験・観察型の理科・環境教育は学園の特徴のひとつ。小学校の総合的な学習の時間における栽培活動では、土づくりから収穫までを実践。小中学校の伝統行事「夏の学校」においても、箱根や南房総の自然に触れながら、磯の生物の採集・観察、地層見学などの理科教育を行っている。中高では、SDGs(国連で定められた持続可能な社会のための17の目標)と学園内のESDの取組を結びつけて示し、社会貢献への意識向上も目指している。
同センター所長を務める池上敦子氏は、ESDにおけるワンキャンパスの強みとして「校種を越えた学び合い」を挙げる。例えば、小学校の栽培活動では大学生のボランティアが参加。肥料や栽培方法の助言を行い、異校種間で学びの交流が生まれている。
「小中高大が互いに知的な刺激を与えあうというのが本学園ならではの学びの特徴。指導される側だけでなく、指導する側の成長にもつながっている」と語る。
同学園は現在ユネスコスクール登録に向けて申請中。今後は他校や研究機関、企業との連携を強化し、教育研究を蓄積していく。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年4月23日号掲載