デジタルセキュリティおよびプライバシー製品のグローバルリーダーであるアバストは、世界12か国を対象としたオンライン授業に関する調査を2020年6月に実施。日本国内の保護者501人を含め、世界12か国の保護者6000人以上を対象に行われ、その結果が8月28日に発表された。
■学習量の少なさや集中力が課題
外出自粛期間中のオンライン授業に満足していると回答した日本の保護者は24%となり、調査対象国中で最低となった。オンライン授業に不満を感じる理由として、「学習量の少なさ・学習時間の短さ」、「子供の集中力が続かない、集中できていない」、「コミュニケーションが一方的」などが挙げられる。
■規則正しい生活ができた、子供の学習内容を確認できたとの意見も
一方、「新型コロナウイルスを予防しながら学習ができた」、「オンライン授業に参加することで規則正しい生活の維持ができた」、「子供の学習内容を確認することができた」など、オンライン授業を評価する声もあった。オンライン授業には課題が多いものの、「今後このような学習方法が普及することを考えると良い経験になった」という保護者もいた。
■オンライン授業の技術的なトラブルは他の国よりも低い
オンライン授業を受けている日本の子供の中で1週間に1回以上技術的な問題に遭遇した子供は10人に1人(10%)。世界平均の19%と比べ、技術的な問題に遭遇する子供の割合はほかの国と比べて最も低くなっている。
■Zoomなど保護者が仕事でも使うツールを使用
その理由として、オンライン授業は多くの場合「Zoom」や「Microsoft Teams」など、保護者が仕事で利用したことのあるツール上で実施されていることが考えられる。実際、オンライン授業が開始されてから新しいツールを学ばなければならなかったと回答した保護者は約14%と、調査対象国の中で一番低くなっている。
■38%がセキュリティやプライバシーに不安を感じる
オンライン授業の実施に際して、オンラインのセキュリティやプライバシーに関する教育が十分に行われていない可能性も明らかになった。「教員が生徒のプライバシーに配慮している」と回答した保護者が34%だったのに対し、「オンライン授業のプライバシーに関するルールを教員から何も聞いてない」と答えた保護者が38%という結果となった。子供の作品などがウェブサイトで他の生徒や保護者からも閲覧できるようになっていると回答した保護者も2割に上った。
◆アバスト ソフトウェア ジャパン 藤本善樹社長コメント
アバスト ソフトウェア ジャパンの藤本善樹社長は「新型コロナウイルス感染の問題が長期化する中、学校関係者ならびに保護者と子供たちは、安全と教育の質を両立させるために待ったなしでICTを駆使した未知の取組を強いられてきましたが、オンラインでの授業やコミュニケーションの実施を急ぐあまり、セキュリティやプライバシー保護まで十分な配慮ができていない可能性が危惧される」と語る。