2021年5月27日に実施された全国学力・学習状況調査の調査結果が8月31日、公表された。
2年ぶりとなった本調査は、小学校については新学習指導要領が全面実施されてから初。調査より、新学習指導要領に基づく主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に関する取組が引き続き進んでおり、児童生徒の学習におけるICT機器の活用への期待は非常に高いことがわかった。また、「授業は、自分にあった教え方、教材、学習時間などになっている」「課題の解決に向けて自分で考え、自分から取り組んでいる」ことが、自律的かつ前向きな学びに結びついている。
一方で、GIGA配備による端末の持ち帰り等はまだ不足している。
主な傾向
◆「学習でICT機器を使うのは勉強の役に立つ」と考えている児童生徒は90%以上。
◆ICTを活用した授業の頻度は増加。「ほぼ毎日実施した」と回答した小中学校教員の割合は50%以上。2018年度調査と比較すると、小学校では「ほぼ毎日実施」の層が特に増えた。
◆端末を使って他の児童生徒と意見交換していることについて「ほぼ毎日」「週1回以上」行っているのは、小学校で39・3%と約4割。中学校は35・4%と3割を超えた。
◆1人1台端末の持ち帰りについて「毎日持ち帰り、毎日利用」「時々持ち帰り、時々利用」「毎日持ち帰り、時々利用」と回答した小中学校の割合は約20%。端末持ち帰りをさせていないのは、小中学校ともに5割強である。
なお2020年10月までに導入した自治体の方が、活用率も端末持ち帰り率も高い。
◆「課題の解決に向けて自分で考え、自分から取り組んでいる」は、小学校中学校ともに約80%。特に中学校で伸びた。また、「自分で考え、自分から取り組んでいる」児童生徒ほど、各教科の平均正答率が高い傾向にある。この傾向は、学校の就学援助を受けている児童生徒の割合に左右されていない。
◆「児童生徒自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動」の実施率が増加。
◆「話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができているか」という質問に肯定的に回答した小中学校及び児童生徒の割合も増加(約80%)
◆「授業は、自分にあった教え方、教材、学習時間などになっている」と考えている児童生徒ほど、「家で自分で計画を立てて勉強している」と回答した割合が高い傾向。また、この質問に肯定的に回答した児童生徒ほど、「国語、算数・数学の勉強が好きだ」と回答した割合が高い。
◆過年度と比較して、特に校外における教員の研究会等への参加の機会や地域とのかかわりが減少。