UD(ユニバーサルデザイン)とは、“できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザイン”を基本コンセプトとしたデザインのことで、人が生活するうえで「使いやすさ、見やすさ」に配慮・工夫をしたデザインをさします。活字の字体にも、読みやすさの向上、誤読を防ぐ工夫をこらしたもの、「UDフォント」が開発されています。
株式会社モリサワは、2018年2月1日(木)よりMORISAWA PASSPORT アップグレード2018年2月版のダウンロード提供を開始し、その中で「UDデジタル教科書体」4書体と「UDデジタル教科書体欧文」11書体が追加されます。すでにMORISAWA PASSPORT製品を契約している方には無償で提供されます。
「UDデジタル教科書体」は、デジタル教科書をはじめとしたICT教育の現場に効果的なユニバーサルデザイン書体です。学習指導要領に基づいた字体・字形を採用しており、、書き方の方向や点・はらいの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザインです。「UDデジタル教科書体欧文」は「UDデジタル教科書体」に組み合わせて使用できる、英語学習教材に適した欧文書体です。
筆書きの楷書ではなく、硬筆やサインペンを意識し、手の動きを重視したデザインになっています。デジタルで表示される文字はゴシック体が主流ですが、ゴシック体よりも点やはらいの向き、画数が明確にわかります。また、通常の教科書体よりも太さの強弱を抑えているため、線が細くなる部分がはっきりと見やすくなっています。
フォントのデザイン原案が作成された後、弱視の見え方をシミュレートした実験や弱視の高校生や成人、教員などに実験や調査を実施し、見やすさの検証を行った結果、タブレット(デジタル)でも紙に印刷した場合でも、従来の教科書体よりも見やすいという結果が得られています。障害の種類にかかわらず、一つのコンテンツを同時に学ぶことができる、そんな多様性にあふれた教室の風景が想像できますね。