厚生労働省では、ひきこもり状態にある人やその家族が孤立することなく、地域社会においてひきこもりに関する理解を深め、相談しやすい環境づくりを促進することを目的に、ひきこもりに理解がある地域社会の実現を目指した「ひきこもり VOICE STATION 全国キャラバン」を10月22日から12日にかけて全国6ブロックに分けてハイブリッド形式で開催する。
キックオフとなる第1回は10月22日、関東・甲信越ブロックとして、東京都・江戸川区のKITTO TERRACEで開催された。
当日は、池上正樹氏(KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事)をモデレーターに、林恭子氏(一社・ひきこもりUX会議代表)、時田良枝氏(一社・polyphony代表理事)、斉藤猛氏(江戸川区長)が登壇し、「ひきこもりから考える、生きやすい社会ってどんなもの?」をテーマに、パネルディスカッションが行われた。
いま、ひきこもり状態にある人は、全国で115万人以上と言われている。そのうちの8割は就労経験があるという。冒頭ではひきこもりの原因や、当事者が感じている生きづらさに関する調査結果などを紹介した。
「ひきこもり当事者は、自分から声を発信しないことが特徴」(池上氏)という。そうしたひきこもり当事者をどのように地域へつなげていけば良いのか。パネルディスカッションは、パネラーのそれぞれの活動を紹介するとともに、ひきこもり当事者からのコメントなども交えながら、ひきこもりと地域のつながりについて話す場となった。
多くのひきこもり当事者やその家族が考えるという就労について、必ずしも正社員ではなく、超短時間の雇用という選択肢もあるということ、また超短時間雇用を用意することは、ひきこもり当事者だけでなく、子育て中や介護をしている人などさまざまな立場の人にとっても生きやすい地域社会になることなどが語られた。
今回の開催地となった江戸川区では、区民全世帯を対象にひきこもりに関する大規模な実数調査を実施した。調査をきっかけに行政とのつながりや当事者のニーズを確認し、具体的な支援内容を説明したパンフレットの作成や戸別訪問などを進め、地域社会全体でひきこもりについて考えていく機運を高めた活動に取り組んでいる。こうした自治体の取組を各自治体へ広げて欲しい、といった参加者からの声もあった。
またひきこもり支援に携わる関係者やひきこもりについて関心がある人など、会場やオンラインでの参加者から多くの質問が寄せられていた。
「ひきこもり VOICE STATION 全国キャラバン 」は今後下記のスケジュールで開催される。
2022.10.30(日)沖縄県那覇市(九州・沖縄ブロック)
2022.11.12(土)三重県松阪市(東海・北陸ブロック)
2022.11.20(日)香川県高松市(中国・四国ブロック)
2022.11.27(日)兵庫県神戸市(近畿ブロック)
2022.12.04(日)北海道札幌市(北海道・東北ブロック)
また、2023年2月5日にはTOKYO FMホールにて「ひきこもりVOICE STATION フェス&相談会」を予定している。
厚生労働省 「ひきこもりVOICE STATION」特設ページ