「舞鶴引揚記念館・平和祈念展示資料館 合同展示キャラバン in 丸の内 『ラーゲリ(収容所)からのメッセージ ~シベリア抑留の記憶をつなぐ~』」が、2月22日(水)~3月5日(日)、東京・丸の内のKIITE 地下1F 東京シティアイパフォーマンスゾーンで開催されている。戦後からはじまった「シベリア抑留」について、舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)と、平和祈念展示資料館(東京都新宿区)が所蔵する資料約90点が展示されている。入場無料。
舞鶴引揚記念館と、平和祈念展示資料館は、シベリア抑留体験者の資料を館内に常設展示している。今回、両館が初めて連携協力。
人口の大多数を占める戦争を知らない世代が、戦後から始まった「シベリア抑留」の経緯や実情を知り、関心を持つ“きっかけ”になることを目的に、首都・東京のターミナル駅である東京駅で開催する運びとなった。
「(平和祈念展示資料館のある)東京は(出征し)連れていかれたところ、そして舞鶴は還ってきたところ」と、舞鶴引揚記念館・奥本護館長は話す。
会場には、両館が所蔵する、シベリア抑留者にまつわる実物資料(レプリカ含む)や模型などを展示。
舞鶴引揚記念館は、紙類の所持が許されなかった収容所で、紙の代わりに白樺の樹皮を使って、家族への想いや抑留生活を綴った「白樺日誌」など「ユネスコ世界記憶遺産」登録資料などを紹介する。
平和祈念展示資料館は、防寒外套や手製の食器類など、つらい収容所生活の中で抑留者の命をつないだ実物資料のほか、抑留者の証言を基に制作したラーゲリの模型などを紹介する。
「戦後78年経ったが、モノを通して当時を想像することができる。生き延びるために、どうもがき苦しんだのか、想像することで近づくことができる」(平和祈念展示資料館 学芸員 佐貫正和氏)、「苦しい中でも生きる希望を持つこと、また舞鶴市の人が引揚者を温かく迎え入れたことから、他者への思いやりなど、中学生や高校生たちに伝えたい」(舞鶴引揚記念館 学芸員 長嶺睦氏)。
他にも抑留中に描いたスケッチや、抑留者の安否情報を留守家族へ伝えたはがき、“帰還を待つ人々”として歌謡曲「岸壁の母」のモデルとなった端野いせ氏の写真などを紹介する。
なお、昨年12月に公開された映画『ラーゲリより愛を込めて』(主演:二宮和也)の劇中で使用された、美術スタッフ制作による劇中使用の小道具5点を、関連展示として紹介する。
実物資料の着用体験も
会期後半の2月28日(火)~最終日(3月5日)まで、抑留者が実際にシベリアで使用していた防寒外套や防寒着、防寒帽、防寒作業手袋など、実物資料の着用体験を行う(無料)。
また通常は舞鶴引揚記念館で“語り部活動”を行っている、東京都在住の現役大学生の学生語り部が、2月28日(火)、3月4日(土)、5日(日)に、来場者に展示資料を解説する。
本展は3月5日までとなるが、舞鶴引揚記念館と平和祈念展示資料館では、引き続き戦争やシベリア抑留を次世代に伝える活動に力を入れている。両館共、全国の小学生・中学生・高校生の平和学習や体験学習の場として、校外学習や教育旅行の場としても積極的に足を運んでほしい、としている。
【開催概要】
「舞鶴引揚記念館・平和祈念展示資料館 合同展示キャラバン in 丸の内
ラーゲリ(収容所)からのメッセージ~シベリア抑留の記憶をつなぐ~」
■期間 2023年2月22日~3月5日
■時間 10:00~20:00 ※日曜・祝日は18:30まで
■場所 東京シティアイ パフォーマンスゾーン
(東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE地下1F
アクセス:東京駅丸の内南口より徒歩約1分 ほか)
■入場料 無料
■主催 京都府舞鶴市、舞鶴市世界記憶遺産保存活用推進委員会
■共催 舞鶴引揚記念館、平和祈念展示資料館
■後援 東京都教育委員会
■Webサイト 舞鶴引揚記念館 https://m-hikiage-museum.jp
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