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5類移行で衛生管理マニュアル改定、教育活動を精選して新しい学びの在り方へ進化~文部科学省・事務連絡

2023年5月2日

文部科学省は4月28日、5類感染症移行後の新型コロナウイルス感染症対策について、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を改定。5月8日以降の対応策を示すとともに、今後の学校教育活動の在り方についても事務連絡を発出した。

「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」改定

改定された「衛生管理マニュアル」では、学校における新型コロナウイルス感染症対策の考え方について、感染状況が落ち着いている平時は、児童生徒の健康観察・換気・手指衛生の指導以外に、特段の感染症対策を講じる必要はないと明記。

また、マスクの着用を求めないことを基本とする方針や、給食での「黙食」は必要ないことを改めて示している。

児童生徒の感染が判明した場合には、これまでと同様に「出席停止」の扱いとなる。新型コロナウイルス感染症に感染している疑いがある場合や、感染するおそれのある場合にも、季節性インフルエンザ等と同様に校長の判断により出席停止の措置を講じることができる。

なお、感染者だった教職員や児童生徒等が出勤・登校するにあたり、陰性証明等を提出する必要はないことに留意。

感染不安による欠席の相談については、地域や学校の感染状況や、高齢者や基礎疾患のある者がいるなど家庭・家族の状況を踏まえ、合理的な理由があると校長が判断する場合は「出席停止・忌引」の扱いとして、欠席としないことが可能。

医療的ケア児や基礎疾患児についても同様に、主治医の見解を保護者に確認の上、登校すべきでないと判断した場合は「出席停止・忌引」の扱いとなる。

「学校等欠席者・感染症情報システム」で状況を早期に把握

地域の感染状況の把握には「学校等欠席者・感染症情報システム」(公財・日本学校保健会)の利用により、周辺地域の児童生徒の欠席状況を把握し、教育委員会や保健所等と情報共有することが可能と説明。

未加入の学校設置者には加入の検討を求めている。

非常時を想定した備えで学習機会を確保

やむを得ず学校に登校できない場合でも、学校と自宅をつなぐ手段を確保し、児童生徒とコミュニケーションを絶やさず学びを止めないようにすることが重要と説明。ICTの活用等による学習指導により必要な措置を講じることを求め、考えられる措置として以下の取組をあげている。

  • ICT端末を自宅に持ち帰り、オンラインによる朝の会や健康観察で会話の機会を確保
  • ICT端末に学習課題等を配信して自宅学習を促進
  • 同時双方向型のウェブ会議システムを活用し、教員と自宅をつないだ学習指導の実施

5類移行後の学校教育活動の在り方について、事務連絡で周知

事務連絡では、コロナ禍が児童生徒に与えた影響について、2021年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査結果からは児童生徒の学力の低下はみられないものの、感染対策上、児童生徒同士の触れあいを基盤とした集団的・体験的な活動は制限されてきたと指摘。不登校数の増加や体力低下など、児童生徒の学習や心身に一定の影響が生じているとの指摘もある。

今後は、コロナ禍を通じて再認識された学校の役割も踏まえ、これまで制限されてきた教育活動について、必要性を十分に検討した上で積極的に実施していくことが求められるとしている。

新しい学びの在り方へと進化

コロナ過では、GIGAスクール構想によって一人一台端末の整備が一気に進むなど、教育環境のデジタル化が大きく進展。デジタル技術の良さを生かした多様な教育活動が日々の実践の中で生み出されている。働き方改革の推進により、慣例的に行われていた様々な取組の精選、重点化も進められている。こうした背景を踏まえ文部科学省は、5類感染症移行後の学校教育活動について、

単にコロナ禍以前の姿に戻るのではなく、これまで制限されてきた学校教育活動のうち真に必要なものを回復させるとともに、GIGAスクール構想の下で生み出されてきた多様な教育実践の工夫を取り入れることにより、いわば新しい学びの在り方へと進化を図っていくことが重要

とし、「デジタル技術を活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現」 と「児童生徒が多様な他者と交流する豊かな体験活動の充実 」に留意して取り組むよう求めた。

デジタル技術を活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現

蓄積された多様な教育実践の工夫を活かしつつ、さらに進化を図る必要があるとして、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実していくことを推奨。コロナ禍における学びの保障や GIGA スクール構想の下での優れた取組を横展開し、各学校における指導の充実を図るため、以下をはじめ多様なコンテンツの活用を求めている。

児童生徒が多様な他者と交流する豊かな体験活動の充実

学校教育は、学校ならではの関わり合いを基盤とし、「社会に開かれた教育課程」の実現に向け家庭や地域と連携協力を図ることとした。

「学校内における授業や学校行事等について」は、教育的意義を改めて捉え直した上で、児童生徒の資質・能力の育成に真に必要な活動を中心にその在り方を検討する。活動の再開が考えられる取組は「多様な集団編成による学習」「全校一斉参加を伴う学校行事」「休み時間や給食等における児童生徒の交流」など。

「学校外における地域と連携した多様な体験活動について」は地域における団体等とも連携しながら体験活動を推進し多様な他者と協働しながら教育活動を行うことが重要であるとした。

文部科学省における支援策等については、文部科学省HP「児童生徒の体験活動の充実のための取組について」を参照。

継続的な感染症対策と個別の配慮に留意

取組を進めるにあたっては、児童生徒の健康観察・換気・手指衛生の指導等の日常的な対応の継続的な実施が有効。

また、基礎疾患を有する児童生徒への十分な配慮、感染の有無やマスクの着用の有無によって差別・偏見・いじめ・誹謗中傷などの対象にならないよう、引き続き十分に配慮・注意が必要であると改めて示した。

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