公財・博報堂教育財団の調査研究機関 こども研究所は、子どもの中長期的な変化を見る時系列調査「こども定点2024」を実施。このほど、その調査結果から見る、学年変化についての分析を公表した。
本調査は子どもを“体験を通して自ら成長する主体的な存在”ととらえ、小4~中3の男女2,400人に、さまざまな体験71項目について、ふだんしていることなどを聞く【体験】のほか、【人との関わり】【価値観】【自己認識】【総合評価】の5つのカテゴリーで700を超える項目を聴取している。2023年に続いて2回目の調査。
さまざまな体験71項目について聞いた〈ふだんしていること〉では、「公園に行く」「友だちと遊ぶ」「外で体を動かして遊ぶ」といった遊びや屋外活動を「よくしている」としたスコアは、小4から中3で軒並み20pt以上低くなり、「友だちと遊ぶ」は小4:53.8%→中3:28.3%とほぼ半減。
〈ふだんしていること(よくしている)〉で、「メッセージアプリ、チャットアプリを使う」「SNSをみる、投稿する」のスコアは、小4から中3で30~40pt以上高くなり、中3で「メッセージアプリ、チャットアプリを使う」は58.3%、「SNSをみる、投稿する」は51.8%と、いずれも半数を超えている。
人柄や性格を表す29の言葉で聞いた〈いまの自分(いくつでも)〉では、小4から中3で「かわいい」のほか、「明るい」「負けず嫌い」「おもしろい」のスコアが10pt~20pt近く低くなる一方、「ひかえめ」のスコアが10pt高くなる。学年が上がるにつれて、ポジティブな自己認識が軒並み低くなり、前に出ることに消極的になる様子がうかがえる。
〈いまの自分(いくつでも)〉で小学生と中学生のスコア差が大きい項目を見ると、小学生は動的で才気あふれるイメージの項目で、中学生は静的で内向きなイメージの項目でスコアが高くなっている。小学生が他者と比べることなく自分を表現する一方、中学生になると他者との関係性の中で自分のふるまいを調整しているようにも感じられる。
〈自己評価〉で、「いまの自分に自信がある」のスコアは小4の30.8%をピークに、中3にかけて10pt以上低くなるが、一方「自分のことは自分で決めている」は10pt以上高くなり、中3で57.3%となっている。
〈自己評価〉の各項目は、学年での変化は一様でないものの、小中で比較すると高くなる項目、変わらない項目、低くなる項目に分かれる。 「自分のやりたいことを自分ならうまくやれる」「いまの自分に自信がある」といったいわゆる自己肯定感につながる項目は低くなるが、一方で「失敗も経験としていかしている」「自分のことは自分で決めている」といった項目は高くなっており、経験から学び、成長する姿が見て取れる。
本調査の詳細なレポートは同研究所のサイトから申し込むことで入手することができる。