4月13日から10月13日まで「2025年 大阪・関西万博」が開催されるが、「立命館学園の挑戦-2025年大阪・関西万博で実践する学びと社会貢献-学園ビジョンR2030の実践と未来を創る学生たちの挑戦-」をテーマに、立命館万博連携推進本部事務局の一ノ瀬和憲氏から出展プログラムの全容などが3月19日に紹介された。
万博学生委員会「おおきに」のメンバー
立命館では2030年に向けて、中期計画として「学園ビジョンR2030」を策定。「新たな価値創造の実現」、「未来を描くキャンパス創造」、「多様性を活かす学園創造」などのキーワードを掲げている。「2025年 大阪・関西万博」を中間点かつ通過点として、R2030・チャレンジデザインを推進する。
万博に参加する意義は以下の4点、①万博を契機とした教育・研究・学生活動の高度化(活性化)、②万博を通じた、児童・生徒・学生の「学びと成長」の機会創出、③万博を契機に新たな関係先とパートナーシップを形成するとともにR2030を推進する姿勢を国内外に広く発信する、④万博に積極的に関わることで大阪・関西の振興に貢献する。
立命館では2022年7月に「立命館 万博連携推進本部」を発足。衣笠キャンパス(京都)、びわこ・くさつキャンパス(滋賀)、大阪いばらきキャンパス、朱雀キャンパス(京都)に加え、立命館小学校(京都市)、立命館中学校・高等学校(長岡京市)、立命館宇治中学校・高等学校(宇治市)、立命館守山中学校・高等学校(守山市)、立命館慶祥中学校・高等学校(江別市)、立命館アジア太平洋大学(大分)と、全学が一体となり、積極的に万博に関わっていく。
【テーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」への協賛】
大阪・関西万博ではテーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」として、シグネチャーパビリオンで8人のプロデューサーが各分野で「いのちの輝き」とは何かを語る。その中から立命館では音楽家・数学研究者でSTEAM教育家の中島さち子氏の「学び(教育)」をテーマとした「いのちを高める」取組に協賛。「学び」「遊び」をテーマとしたパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」でワークショップなどを展開する。
クラゲ館では中島さち子プロデューサーのもと、11の分科会を設けて準備を進めている。立命館では展示分科会や催事分科会、学生分科会など9つの分科会に参加し、対面とオンラインで意見交換などを実施。月1回の全体ミーティングでは関係者が一堂に会し、進捗状況の確認など検討会議を行っている。
いのちの遊び場 クラゲ館
【TEAM EXPO 2025への参加】
大阪・関西万博SDGs共創プロジェクト「TEAM EXPO 2025」プログラムはSDGsの達成に貢献するため、多様な参加者が主体となり、理想とする未来社会を共に創り上げていくプログラム。同プログラムは「共創パートナー」と「共創チャレンジ」があり、「共創パートナー」は法人・団体、「共創チャレンジ」は個人・グループ単位で参加する。
立命館は法人団体として共創パートナーに登録しているほか、共創チャレンジとして「カーボンマイナスプロジェクト」など9件以上の取組を登録。これにより、公式Webサイトや万博と連携したイベントを通じて取組の認知拡大につなげていく。
【パビリオンの出展】
大阪・関西万博ではテーマウィークとして、約1週間ごとに異なる地球的課題をテーマに設定。万博参加者および全国の自治体や産業界などが集い、解決策を話し合う「対話プログラム」と具体的な行動のための「ビジネス交流」などを実施。8月7日にクラゲ館の主催で行われる「テーマウィークスタジオ」では、立命館の学生を含む約30か国・地域の学生や生徒が集い、高校生と大学生がチームを作り、それぞれのグループのテーマに沿ってプレゼンを行う。
また、収容人数約3000人のEXPOメッセ「WASSE」を会場に、8月8日・9日の2日間、世界各国の文化を紹介するため立命館アジア太平洋大学の学性による多文化ファッションショーやステージパフォーマンスなどが行われるほか、立命館大学では「宇宙」をテーマとした展示やワークショップを実施。その他、立命館小学校の児童が海外の学生と地球規模で環境について考える交流企画を実施するほか、立命館宇治高等学校では「命」をテーマとしたエッセイを来場者から募集し、「命の樹」にメッセージカードを展示する。
5月6日と6月21or22日には「電力館 可能性のタマゴたち」で万博学生委員会「おおきに」の学生や附属高校生によるワークショップを実施。6月1日には「ウーマンズパビリオン」で立命館アジア太平洋大学の教員と学生による「女性とインクルーシブ」をテーマとしたパネルディスカッションを実施。10月5日には「大阪ヘルスケアパビリオン」で学園創立125周年企画として、吹奏楽部、チアリーダー部、交響楽団などによる大学生と高校生よるステージパフォーマンスを展開。また、「TEAM EXPO パビリオン」ではベストプラクティスに選出された「カーボンマイナスプロジェクト」の研究成果が常設展示されるほか、7月13日・19日には「サステナドーム」で研究成果を出展する。
※詳細は立命館×2025年大阪・関西万博のWebサイトで公開予定
■3つの目的を掲げて活動を展開
立命館の学生らによる万博学生委員会「おおきに」は2023年4月に発足。その目的・意義は、①万博を契機とし、学園ビジョンR2030で目指す学生を育成する、②万博に向けて学生が主体的・積極的・継続的に参画するための活動を行う場とする、③学友会や様々な学生団体と共創し、他大学の学生・学生団体とも連帯しながら機運の醸成を目指すの3点。
■日常的に活動するコアメンバーと単発的に参加する登録メンバーで構成
「おおきに」は万博での出展に向けて、日常的にワークショップやミーティングなどを実施するコアメンバーと、クラゲ館関係のイベントにボランティア・スタッフとして単発的に参加する登録メンバーからなる。
なお、コアメンバーは多様な学部から集まった学生が社会課題の解決に向けて、会期中に1~2回のワークショップなどを実施する社会課題推進部門と、社会課題推進部門とも連携しながら広報活動などを行う執行部・運営部門から構成される。
その他、学生部万博プロジェクト参画団体があり、学友会所属団体・大学が認めた学内の既存団体が、万博で活動の成果を披露するためワークショップの実施などを目指す。
■「食班 SusTable」や「環境班」などからなる社会課題推進部門
「おおきに」の社会課題推進部門は、食品ロスをテーマにしたワークショップを考案する「食班 SusTable」、環境問題を自分ごととして多くの人に考えてもらう機会を創出する「環境班」、コミュニケーションの多様性や難しさを考えて解決法を探る「コミュニケーション班 CWA」、日本文化の継承に向け、体験を通じて日本文化を考える「日本文化班」、世界の様々な国や文化を超えた理解方法と交流の促進を考える「多様性・異文化理解班」の5つの班からなる。「おおきに」をはじめとする学生の取組は「いのちの遊び場 クラゲ館」や「電力館 可能性のタマゴたち」などのワークショップを通じて体験することができる。
■食班のワークショップではカードゲーム「ドドフロス」と「ZELOS」を実施
カードゲーム「ドドフロス」
「食班 SusTable」は大阪いばらきキャンパス、衣笠キャンパス、びわこ・くさつキャンパスの学生44人で構成。持続可能な食卓形成へ向け、食の社会問題をテーマにした様々な活動に取り組んでおり、大阪・関西万博への出展に向けて準備を進めている。
ワークショップなどでは、食品ロスから生まれたキャラクターに名前をつけるカードゲーム「ドドフロス」を実施。ゲーム終了後にはキャラクターの設定資料集を渡すことで食品ロスへの理解を深める。
また、「ZELOS」は山札の中からランダムに食品ロスのカードを出し、どういう行動ができるのかを卓上のカードから「対策カード」と「GOODカード」のペアを出していく。参加者同士で話し合うことで楽しく食品ロスについて考えることができ、海外の人も楽しめるように外国語対応も進めている。
食品ロスに関する展示では、明るい食の未来を表現した1枚の絵をモザイクアートで完成させる。モザイクアートの1つずつのパーツは食品ロスの実態やAIのイラストで作り上げる。こうした取組により、一人ひとりの行動変容を促すことにつなげていく。