児童生徒のデータプライバシー協会は、全国の教育関係者を対象に「GIGAスクール端末処分に対する意識調査」を実施、このほどその調査結果を公表した。それによると、GIGA端末の適正な処分方法について、具体的な方法を把握していない割合が5割に上ることがわかった。
調査は今年2月、教員や自治体の教育業務に携わっている方などの教育関係者を対象にインターネットを介して実施した。有効回答数117。
教員や自治体の教育業務に携わっている教育関係者のうち、約2人に1人が自身が携わっている教育現場でのGIGA端末の処分方法を把握していないと回答した。
「GIGAスクール構想」の開始に伴い、2019年より全国の児童生徒1人に対して1台のGIGA端末の整備が進められているが、GIGA端末は5年程度で更新時期を迎えることから、2025~2026年にかけて約950万台の更新が予定されている。児童生徒のプライバシー対策においては各自治体での適正な端末処分が重要になるが、今回の調査により、具体的な処分方法を把握していない割合が約5割に上ることが明らかとなった。
文部科学省は昨年1月に教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを改訂し、GIGA端末処分時の適正なデータ消去は、専用ソフトを用いて行う等を規定した。適正な処分には認定事業者への委託が必須となっている。
「小型家電リサイクル法」認定事業者を活用してGIGA端末を処分している教育関係者は17.1%だった。さらに、その理由として「小型家電リサイクル法認定事業者の存在を知らなかった」が最も多い結果に。
教育関係者が把握していないGIGA端末内のデータの種類を調査したところ、67.5%が「いじめアプリなど個人のセンシティブなデータ」と回答し、最も多い結果となった。また、写真データや学習データについては約35%が把握していないことも分かった。
撮影写真には位置情報など、個人を特定する可能性が含まれているデータと言えることから、適切なデータ消去が必要になる。また、児童生徒の特定リスクになり得るデータとしては、児童生徒の氏名や住所などの個人情報に次いで、写真やテストの成績が挙げられている。今回の調査により、教育関係者のGIGA端末に含まれるデータに関する意識は、現状、十分とは言えない状況であることが明らかとなった。