福島県矢吹町は、スポーツ振興とデジタル技術を融合させた「矢吹町スポーツ×デジタル振興プロジェクト」を推進しており、その一環として「バイタルウォッチを活用した子どもの体力・運動能力向上プログラム」の実証事業を実施。2月17日、事業成果の報告会を開催した。
運動プログラム実施の様子
バイタルウォッチ着用の様子
本事業では、矢吹町立三神小学校の2年生を対象に、バイタルウォッチを活用して運動時のデータを収集。機械学習による解析を行い、通常の体育授業と比較しながら、子供たちの運動能力向上を目指した。実証は昨年11月21から2月13日まで実施。協力企業として、みらい株式会社、株式会社Cellence、NXTech株式会社が参画している。
なお、バイタルウォッチの活用に際しては、事前に小学校を通じて保護者の同意を得た上で実施しており、収集されたデータはすべて仮名化処理を施し、個人を特定できない形で分析・活用した。
報告会では、実証事業の分析結果とデータに基づく運動能力向上の可能性などが発表された。
本プログラムでは、▽体力テストや睡眠時間等のアンケートデータの収集▽運動教室と通常の体育授業時の客観的データ(心拍数や活動量) の取得▽機械学習を用いた上記の高次元データの解析と可視化――を実施。
これにより、児童を統計学に基づき分類し、分類された児童集団を特徴づける因子を特定し、児童の特性に基づく授業目標の設定を通した「学びの最適化」を実現できるかを検証した。
なお、本プロジェクトでは、デジタル技術の活用により、子供たちの能力を高低で序列化するのではなく、一人ひとりの特性や強みを活かし、それぞれに適した学習方法を提供することに重点を置いている。運動特性の違いを多様性として尊重し、個々の成長を最適に支援することで、すべての子供が自信を持って体育活動に取り組める環境づくりを目指している。
分析の流れ
この結果から同町は、体育の教育現場で「学びの最適化」を実現するには、▽客観的手法による児童特性の分類▽グループ特性を決定づける要因の特定▽その要因(およびその程度)に基づく授業目標の設定と適切な支援――が重要であるとしている。
今回の実証事業を踏まえ、同町は得られたデータや知見を活用し、より効果的な体力向上プログラムの開発を進める。また、スポーツ教育へのデジタル技術の活用を広げ、学びの最適化を図る取り組みを推進するとしている。