高校生の高校生による高校生のための授業を創る、産・学・高校生協同の取り組み「フェイクニュース時代のメディアリテラシー育成プログラム」の第2期報告会が2月16日、東京・丸の内のユーザベース社で開催された。
本プログラムでは、高校生が自ら「メディアリテラシー」に関する授業を作成・実施し、フェイクニュースに惑わされない情報の見極め方や、メディアを批判的に読み解くスキルを身につける。また、生徒自身で授業を作り上げることで、実践的な学びが可能となり、将来にも応用可能な情報社会における批判的思考力や問題解決能力が養われることも目指している。運営主体は愛知教育大学。社会科教育研究室の土屋武志教授が中心となり展開している。
報告会では、7つの高校の生徒38人が、自分たちの開発した授業や教材を発表した。発表された授業案は5種類、教材は6種類。国語の古文の授業でのメディア情報リテラシーの理解や向上を目指した授業や、メディア情報リテラシーの理解や向上を楽しくゲームでできる、ゲーム型教材についての報告がされた。
成果発表を行った高校は次の通り。▽上野学園高校▽岡山県立岡山南高校▽関東学院六浦高校▽京都先端科学大学附属高校▽静岡雙葉高校▽愛知県立豊橋西高校▽奈良女子大学附属中等教育学校。
静岡雙葉高校は、災害時の情報活用力の向上を目指すカード型ゲームを開発した
ゲーム型教材を開発した静岡雙葉高校の生徒は、ゲーム型教材を開発した理由を「高校生に少しでも楽しくメディア情報リテラシーを学んでほしい」と話した。
自分たちが住む静岡が、いつ大きな地震に見舞われるかわからないため、その時に備えられる災害時の情報収集や情報の判断の力を向上できるカードゲームを作成したと言う。
今後、他の高校の授業でも活用してもらい、ゲームの改善に取り組むと今後の展望も示した。
奈良女子大学附属中等教育学校は、人間がデマに振り回されてきたことを古文から読み取り、ではどうするのか考える授業を開発した
古文の授業でのメディア情報リテラシー向上の学びを開発した奈良女子大学附属中等教育学校の生徒は2023年度に引き続いて授業を開発した。
古来、デマに振り舞わされてきた人間の姿を古文から学ぶとともに、情報に振り回されないネガティブ・ケイパビリティーの重要性に気づいてもらう授業づくりにチャレンジしたと話した。授業に事前事後でアンケート調査を行った結果、「情報が確からしいか確かめる」生徒の割合が13%増加したとのことだった。
本プロジェクト参画組織のひとつである一社・インターネットメディア協会の瀬尾傑代表理事は、「情報を受信する際のリテラシーだけではなく、発信する際のリテラシーの向上も意識されている点が素晴らしい。このプロジェクトでは、社会にある課題を発見し具体的な方法を考えて解決に取り組む体験を積んだ。それはみなさんが社会に出た時に仕事で非常に役立つ経験となる」と高校生の取り組みを評価した。
本プロジェクトは、三菱みらい育成財団の助成を受け、学校教員、大学生、報道関係者、研究者など産学共同で2023年度にスタート。今後2025年度まで3年間にわたり実施される予定だ。
フェイクニュース時代のメディア情報リテラシーを育成する産・学・高校生協同プログラム