文部科学省はこのほど、昨年実施された国際教育到達度評価学会(IEA)「TIMSS2023」の結果を公表。「数学、理科の勉強は楽しい」と考える中学⽣の割合が増加傾向にある一方で、「得意」と思う⼩・中学⽣が減少している。また、児童⽣徒⼀⼈ひとりが使える端末の整備状況は世界トップクラスであることなどが明らかになった。
TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)は、IEAが、児童生徒の算数・数学と理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、学習環境条件等の諸要因との関係を、参加国/地域間におけるそれらの違いを利用して組織的に研究することを目的として、1995年から4年ごとに実施している。
2023年調査には、58カ国・地域から約36万人の小学生、44カ国・地域から約30万人の中学生が参加。日本は、小学4年生3,875人(141校)、中学2年生3,905人(133校)が参加した。なお、前回調査からコンピュータ使用型調査(CBT)を導入しており、日本はGIGAスクール構想で整備された1人1台端末等を活用し、今回初めてCBTによる参加となった。
教科調査では、平均得点については、算数・数学、理科ともに高い水準を維持。小・中学生いずれも、算数・数学、理科ともに、男子の方が女子より高かった。
前回調査との比較では、算数・数学には有意な変化なし。理科は、小・中学生とも有意に低下。小4では「知識」領域の得点が他の領域に比べて低い一方、中2では「知識」「応用」 「推論」の全領域で高い水準にある。また、前回2019年調査と同一問題の平均正答率は全教科で同程度。CBT移行の影響は少ないようだ。
質問調査では、「数学、理科を勉強すると、日常生活に役立つ」「数学、理科の勉強は楽しい」と考える中学生の割合が増加傾向にある一方、算数・ 数学、理科を得意と思う小・中学生が減少している。また、算数・数学、理科への興味・関心は男子の方が女子より高い。
情報端末の整備状況について、教員への質問調査で「この学級には各児童生徒が使える情報端末がある」に「はい」と回答した割合は、小・中学生とも95%以上。児童生徒一人ひとりが使える端末の整備状況は世界トップクラスとなっている。
教科調査では、児童生徒がICTを活用する自信があるほど平均得点が高い傾向が見られる。日本の児童生徒の自信は国際平均と同程度。情報端末を学習改善に取り入れる自信がある教員の指導を受けている児童生徒の割合は、国際平均より低い。