ITエンジニア向け転職・就職・学習プラットフォーム「paiza(パイザ)」を運営するpaizaは12月10日、「プログラミング言語に関する調査(2024年版)」の結果を公表した。
調査は、paiza登録者のITエンジニア、プログラミング学習者を対象に行われたもの。プログラミング言語別提示年収ランキングのほか、穴場言語や学習人気ランキングについて調査している。
2024年の提示年収が高い言語ランキングでは、Go、TypeScript、Scalaがトップ3となった。また、1位から6位までは2023年の同ランキングから順位が動いていないなど、昨年と比較して言語別需給バランスに大きな変動が無かったことがうかがえる。
一般的に、JavaScriptは多くのソフトウェア開発現場で利用されてきた背景があるが、昨今大規模なシステムを中心に TypeScriptへの移行が見受けられる。TypeScriptの提示年収が高まっている背景には、この移行が影響している可能性もあるのではないか、と同社は分析している。
本調査では、企業の求人が多い(≒求められている)にも関わらず応募者数が少ない言語を”穴場言語”と表現している。
1位:Kotlin、2位:Swift、3位:Goという結果になった。KotlinはAndroidアプリの開発、SwiftはiOSアプリの開発、Goは膨大なデータを扱うサービス開発(大規模なユーザー数を保有するサービスの開発)に適している。アプリの開発でニーズが高まっている中で、相対的に応募者が少なく転職活動においては比較的ライバルが少ない可能性があるのではないか、と分析している。
PythonはAI開発やデータ分析に強い言語であり、昨今のAIの発展による影響が考えられる。
また、Javaは大手SIの開発からゲームの開発まで幅広く使われ続けているため高い人気を維持し続けていると考察している。
2022年まで3位をキープしていたPHPは、昨年・今年で1つずつ順位を落とし、今年は5位という結果になった。
PHPは文法が比較的シンプルであり、未経験者でも学習しやすいなど、学習のハードルが低いため初学者に人気がある言語。一方、インタプリタ型言語でコンパイラ型言語と比較すると処理速度が遅い傾向にある。Webアプリケーションの開発に適した言語である一方、市場が急拡大しているモバイルアプリケーションの開発においては、他の言語(AndroidであればKotlin、iOSであればSwift等)を用いることが多い。こういった背景から、少しずつ他言語へと人気が分散していることが、今回の低迷につながっているのではと同社は推測。また、RubyもPHPとほぼ同様の理由で順位を落としている可能性も指摘している。
2020年に6位だったJavaScriptは徐々に順位を上げ、2024年はトップ3入りを果たした。フロントエンド開発にもバックエンド開発にも使用でき汎用性が高いことや、多数のライブラリやフレームワークが存在するためシステム開発において適応性が高いことが順位を上げてきた背景にあると同社は分析している。
C言語はPythonやRuby、PHP等のプログラミング言語のもととなっていることや、OSの記述に多く使われているため、いわばシステム開発の基礎と言える。そのため、情報系学部に通う学生が学ぶ言語としてC言語が選択されることが多くあることが背景として考えられる。
Pythonはコードの読み書きが比較的容易で取り組みやすいということに加え、「DNCL2」という大学入学共通テスト専用の擬似プログラミング言語によく似ていることや、AI・機械学習などに使われる言語であることから学生からの学習人気が高いと想定される。
今回の調査結果を総括して、同社は以下のように考察をまとめている。
「転職における言語別の提示年収」は、全言語平均で前年比約10万円上昇しました。昨年の調査の際には前年比23.2万円というデータが出ており、上がり幅は少ないものの引き続き提示年収の上昇が見受けられる。
社会人の学習で人気が高い言語は、5年連続Python、Javaが1位と2位に。AI開発やデータ分析といった現在のトレンドが色濃くあらわれている一方で、システム開発において従来から根強く支持されている開発言語が引き続き存在感を示している、と言える。
学生の言語学習ではPython、Java、C、C++、C#が不動のトップ5となっている。上記で記載した内容に加え、プログラミング学習をカリキュラムとして取り入れている場合、数年で異なる言語を扱うとなると指導者側の負担や教材使用の兼ね合いから学習人気が固定化されていると推測される。