大日本印刷株式会社(DNP)は12月4日、東京大学 生産技術研究所 次世代育成オフィス(東大生研ONG:Office for the Next Generation)の指導のもと、高校生と社会人がともに学び合う「STEAM2型次世代育成プログラム」の基本モデルを開発したと発表。
本プログラムは、高等学校における、社会で働く際のさまざまな課題解決に必要な“自ら問いを立てるスキル”を習得できる授業カリキュラムを、企業の社員とともに設計・運営するもの。学生のSTEAM型の探究学習と社員の人材育成の同時に実現し、「Society5.0」に不可欠な人材創出を目指している。
本プログラムは、高校生と社会人が互いに学び合い、新しい視点を得るためのプログラム。デザイン思考を活用し、ユニバーサルデザイン(UD)の視点から、身近な困りごとや社会課題を捉えることを重視した内容となっている。高校生が自ら問いを立て、その問いに対する具体的なアイデアや製品・サービスを考え、社員・高校生同士等様々な視点からフィードバックを受け、さらなる問いに進むことを実践する。
社会人である社員はメンターとなって学びの場に参加する。メンターとなる社員は、コーチング理論や手法を事前に学習してプログラムの実施に伴走することで、リーダーシップ力やチームマネジメント力を養う。
このプログラムは、企業の社員研修として活用することも想定しているという。職業体験ではなく、企業の採用の目線で自社の事業推進や社会課題解決に必要な人材にフォーカスしてカリキュラムを設計する。導入を希望する学校と企業をマッチングさせて、授業の一環として展開する。
2024年7月~9月、プログラム開発に向けた実証実験を行った。DNPグループ社員と東京大学の大学院生がメンターとなり、探究学習に注力する関東エリアの高校生が参加。
参加した高校生からは、「UDの考え方、社会課題とその解決方法、身近なこととの関連性、アイデアの出し方など、多くのことを学ぶことができた」などの評価があったほか、メンターとして参加した社員からは「自分自身の成長だけでなく、年代が異なるメンバーの成果を促すことで視野が広がった」との声があったという。
人材育成に課題を感じている多様な業界の企業との協働による実証実験を行うとともに、高等学校等の授業で活用に向けた、単元目標設定や評価等の整理を進める。2025年度中に企業研修プログラムとして提供を開始する予定だという。また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で本プログラムと関連した「STEAM型アイデア創出」のワークショップを予定している。