語学学習アプリ「Duolingo」を提供する米Duolingo, Inc.は、アプリのユーザーデータに基づく語学学習の動向を調査した年次レポート『Duolingo Language Report 2024』(以下、DLR2024) を発表した。さらにDLR2024と連動して、各都道府県100人の計4,700人を対象とした日本国内の語学学習の動向を探る年次調査『日本国内における語学学習に関する調査』 (以下、国内調査) を実施した。
学習時間の平均値に基づく「最も熱心な学習者が多い国」のランキングで、悔しくもベラルーシに1位の座を譲った日本だが、2024年は1位に返り咲いた。ベラルーシは4位に後退し、チェコが2位、3位がハンガリー、2022年・2023年にトップ5にランクインしなかったドイツが順位を挙げて5位にランクインした。
Duolingo内で人気のある学習言語トップ10に入る言語の顔ぶれは昨年と変わらず、特に上位5位までは順位に変動がなかった。
日本語は2024年も世界で5番目に人気な言語となり、2021年から4年連続の記録を維持いる(2020年は6位)。
2024年も英語は世界で最も人気のある学習言語であり、英語が第1位となった国の数は昨年より10%以上増加し、過去最高の135カ国に達した。他言語が「趣味」「娯楽」のために学習されるのに対し、多くの地域で英語学習者は自らのスキル向上や自己成長のために学習を続けていることが明らかになった。
年次調査『日本国内における語学学習に関する調査 』では、Duolingoのユーザーに限らない、日本語を母国語とする15〜59歳の男女4,700人を対象にインターネット調査を実施した。本調査では、語学学習の方法の変化やトレンドについて分析している。
現在語学学習をしている人に対して、学習方法について尋ねたところ、学習者のうち58.3%が「アプリ」を利用していると回答した。続いて、「YouTubeやNetflixなどの動画サービス」(37%)、「教本」(35.6%)がランクインし、昨年から大きな順位の変動は見られない。
一方で、昨年に比べて利用率が伸びたのが「ChatGPT」。昨年は語学学習者のうち6.1%が利用していたのに対して、今年は10.9%と1割を超え、学習方法の中で最も伸び率が高い結果となった。特に20代、30代では「対面レッスン」や「ラジオ」などよりも利用者が多く、語学学習の新たな選択肢の1つとして活用されているようだ。
さらに、現在語学学習をしているかどうかに関わらず、4,700人を対象に「ChatGPTやBingなどの会話型AIツールを語学学習に活用したことがありますか?」と尋ねたところ、13.3%が「はい」と回答。特に10代では27.8%、20代では15.0%が活用経験があると答えており、若年層を中心にAIを活用した語学学習が広がりつつあることがうかがえる。
語学学習に会話型AIツールを活用したことがある人を対象に、語学学習における会話型AIツールのメリットを聞いたところ「自由に質問できる・自由度が高い(58.9%)」「24時間利用できる(52.1%)」「人との会話に比べて緊張せず、恥ずかしくない(28.8%)」が挙げられた。
一方で、同対象に会話型AIツールの課題について尋ねたところ、「機械的なやりとりや臨場感の少なさ」(30.0%)が最も多く、「回答が正確であるか不安」(25.6%)など、AIの精度や正答率に対する信頼感の問題が指摘された。また、「適切なプロンプトの作成が難しい」(23.2%)や、「自身に適した正しい学習方法か分からない」(23.0%)などが挙げられている。
これらの結果から、“リアルな人だと恥ずかしいが、人と話しているような臨場感や緊張感は求めたい”という複雑なニーズが背景にあると考えられる。さらにChatGPTなど活用したことのある人が増加する中で、AIツールを活用する上で学習者自身が適切な指示を与えなければならないことに対する負担が課題として残っていることが分かった。
「通訳・翻訳ツールに頼らず、自分で語学力を身につけたいと思いますか?」という質問に対し、37.9%の回答者が「はい」と回答。その理由についても尋ねたところ、最も多かった回答は「自己成長や自己肯定感に繋がるから」(25.8%)でした。続いて、「遅延のない自然なコミュニケーションがしたいから」(25.3%)、「異文化理解のため」(24.5%)が挙げらた。
これらの結果から、多くの人が単なるツールの利便性を超えて、自分自身の成長や異文化への理解を深める目的で語学学習に取り組んでいることがわかる。
▶︎DLR2024レポートの全体版はこちらからダウンロードできる