learningBOXが提供するクラウド型eラーニングシステム「learningBOX」が、鹿児島大学、福井大学、志學館大学、鳴門教育大学、福島学院大学、高知県立高知国際中学校・高等学校、仁愛大学の7校で行われた臨床試験に活用され、閾値下の社交不安症の改善にICBT(インターネット認知行動療法)が有効であると実証された。今回、この取り組みが評価され、「Bett Asia Awards 2024」において、ウェルビーイング賞のファイナリストにノミネートされたと、10月28日、同社が発表した。
Bett Asia Awardsは、アジア太平洋地域の教育に革命を起こしているEdTechの学校や団体、個人を称えるもので、10月2日にマレーシアのクアラルンプールで開催された、教育およびその技術に関する世界最大規模の展示会「Bett」(British Educational Training and Technology)のアジア版「Bett Asia 2024」にて発表された。
Bett Asia Awards ウェルビーイング賞は、EdTechを利用し、生徒と教員の精神的健康または身体的健康の発展に寄与した個人、グループまたは組織に贈られる。
社会的な場面で強い不安や恥ずかしさを感じ、否定的な評価を恐れる精神状態は社交不安症(SAD)と呼ばれ、対人関係や学業、就職において問題を抱える可能性が高いため、医療の早期介入が重要であるとされている。しかしながら、認知行動療法の専門家の不足や専門治療を提供する医療機関が都市部に偏在していることから、認知行動療法へのアクセスの悪さが問題となっている。
この課題の改善に向け、2022年12月から翌年10月にかけて各大学の教授が当社のクラウド型eラーニングシステム「learningBOX」を活用し、インターネットを利用した認知行動療法(ICBT)の有効性を調べる臨床試験を実施した。
臨床試験の参加者は診断基準を満たさないものの、社交場面である程度の不安症状を有している、大学6校と高校1校の学生計77人。参加者は、介入グループ(ICBT群)に38人、コントロールグループ(無治療群)に39人がランダムに割り付けられ、介入グループには「learningBOX」を介して、社会不安を克服するための認知行動療法のテクニックを教えるコンテンツが提供された。
臨床試験開始から10週間後(介入終了直後時点)には、寛解率においてコントロールグループが38%(9人/38人)に対して、介入グループは61%(19人/31人)と高い数値が示され、ICBTが若者の閾値下社交不安症状の改善に効果的であることが分かった。
また、learnignBOXを活用したICBTからの脱落率は9%とかなり低く、介入開始か3カ月以内に、介入を受けた若者の社交性不安症状が平均34%減少した。
今回の臨床試験の結果により、閾値下社交不安症にセルフヘルプでのICBTが有効であることが示された。
人前での緊張と不安は、多くの人に感じられる感情状態の変化なので、「日常生活に支障がでている」場合でも単なる性格の問題として解釈されやすく、適切な治療につながることは稀です。また、対人支援を回避することも治療開始を遅らせます。
learningBOXを利活用することで、認知行動療法を安全かつ即座に必要とする人に届けることができます。将来的には、必要とする方全てに認知行動療法を提供できるかもしれません。