国際環境NGOグリーンピース・ジャパンはこのほど、国内4都県の小学校・高校で、教室の温度を約3週間にわたって継続的に測定した調査結果を公表。調査の結果、断熱がされていない学校では、教室に冷房が設置されているにも関わらず、文部科学省が推奨する28度以下の室温を、調査期間の半分以上の時間維持できていないことががわかった。一方で、断熱加工が施されている教室でも、断熱材の厚さが十分ではなく、快適な温度を維持するには不十分であることも明らかになった。
調査は、今年7月1日〜19日にかけて、東京都練馬区、神奈川県横浜市、三重県伊賀市の小学校3校と、埼玉県さいたま市の高校1校の計4校において、データロガー温度計を各校の校舎最上階の1教室内に2台、屋外に1台設置(東京都の小学校ではサーモグラフィーカメラでの撮影も)して実施した。
■主な調査結果
- 調査期間中に教室内温度が文部科学省の「学校環境衛生基準」で推奨される28度を超えた割合は、東京都では56.1%、神奈川県では53.7%、埼玉県では73.1%、三重県では64.6%となり、4校全ての教室で、28度以下の基準を満たしていない時間が、調査時間の半分以上に達することがわかった。
- 4校全てで最も高い室内温度が観測された7月8日、東京都、神奈川県、三重県のピーク温度は週明けの早朝、埼玉県のピークは正午ごろで、いずれも午前7時ごろからエアコンを稼働させていたにも関わらず、学校の活動時間内において室内温度が基準の28度を下回ることは一日を通して一度もなかった。特に東京都と埼玉県の学校では30度、神奈川県の学校では32度をそれぞれ下回ることはなかった。
- サーモグラフィーを撮影した東京都の小学校の天井には厚さ25ミリほどの断熱材が施されているが、その厚さが十分ではなく、快適な温度を維持するには不十分であることが画像から判明した。
▶︎調査報告書「国内4都県における学校教室の夏期温熱環境調査」全文はこちら
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン