夏休みなどの長期休みは高校生にとって、アルバイトをはじめ就業意欲が高まる時期となるが、デジタルネイティブな高校生にとって、SNSはアルバイト探しでも重要な情報収集源となっている。一方、簡単に高額報酬を得られる代わりに犯罪行為をさせられるなど「闇バイト」が社会問題にもなっている。マイナビでは高校1年生から3年生869人、大学1年生から3年生1294人を対象にアルバイトに関する調査を実施(調査機関:2024年2月15日~19日)。その結果から、夏休みにアルバイトをする高校生が違法性のある労働に陥らないために必要な意識・行動について考察した。
これまでアルバイトをしたことがない高校生のうち、長期休み中にアルバイトをしたいと考えている割合は79.2%。現在アルバイトをしていない理由は「学校生活(学業・部活など)との両立が難しい」が34.6%で、「学校で禁止されている」の56.3%に次いで上位となっている。高校生にとって、夏休みなどの長期休みは学期中より自由に使える時間が多く、時間に余裕が生まれることからアルバイトが増えるタイミングとなっていると考えられる。
現在アルバイトをしている高校生のうちSNSでアルバイトを探したことがある割合は 46.6%で約半数にあたる。実際に応募した経験がある割合は36.7%で、3人に1人以上がSNSでアルバイトに応募したことがあることがわかった。
この割合は大学生よりも10ポイント以上も高く、日本の高校生の9割以上がSNSを利用する中、SNSを使ったアルバイト探しが身近なことがうかがえる。このことから、夏休みにはSNSを利用した、高校生のアルバイト探しが増えることが考えられる。
現在アルバイトをしている高校生にアルバイト先を決めた要因を聞くと「応募後にすぐに企業から連絡がきた」が40.4%で最も多かった。SNSでのアルバイト探しは応募の手軽さや働き始めるまでの期間が短いことなど、効率性の観点においては学業や部活動で忙しい学生にとってメリットがあると思われる。
一方、SNSは第三者のチェックが入らず誰でも簡単に情報を掲示できることから、トラブルに巻き込まれる危険性もある。限られた時間で応募・就業をせず、応募や就労前に企業や仕事の情報について確認することが重要となる。
現在アルバイトをしている高校生のうちSNSで怪しい求人を見かけたことがある割合は41.3%、実際にトラブルにあった割合は8.6%だった。また、SNSで直接アルバイトの交渉をすると違法な労働に巻き込まれる危険性があることを知っている割合は、前年から5.2ポイント増加したものの50.0%と半数にとどまった。
アルバイトをしている高校生の5人に1人が親の関与なくアルバイト先を決めている現状にあり、大人や社会が高校生をどう見守っていくかが重要となる。また、教育機関などは高校生がSNSの正しい活用方法について改めて学び、自分の身を守る術を提供する必要がある。
【調査担当者コメント】
実際にSNS経由で怪しいアルバイトの勧誘を受けたり、トラブルに巻き込まれている高校生もいる中、その危険性を認知している割合は5割にとどまっている。闇バイトが社会的に問題になっている中で高校生にも危険が迫っている様子がうかがえる調査結果となった。
夏休みなどの長期休みは高校生のアルバイト就業意向が高まり、SNSでのアルバイト探しを行う高校生も増加する可能性が考えられるが、闇バイトに関わらないように注意を払うことが求められる。応募の手軽さや時給が高いことに惑わされて、安易に闇バイトに手を出さないように気を付けることが望まれる。
今後、一層大人や教育機関がSNSの正しい知識を啓発していくことに加えて、社会経験が少ない高校生がトラブルに巻き込まれないよう、身近な大人や学校側から積極的にコミュニケーションを取っていくことも重要であると考えられる。