東京工業高等専門学校はこのほど、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと連携し、ロボットトイ「toio」の群制御およびデジタルツインを用いた卓上自動搬送システム教材を開発した。今期より本教材を活用したシステムインテグレーション演習を授業名「デザイン工学」として実施している。
同校では今年度、「デザイン工学」授業の公開を2回企画し、1回目の授業公開を6月28日に実施した。授業の主目的は、ロボットSIer(システムインテグレータ)という業種を知り、システムインテグレーションの素養を身につけること。
学生は、顧客からの要望を想定して与えられた実践的な課題を実現する模擬的な搬送ロボットシステムをデジタルツインを用いて効率的に開発する。単なるものづくりの実習ではなく、顧客からの要求定義・仕様策定・設計・実装・テスト等プロジェクトマネジメントの手法に沿って開発を進め、技術的な素地を身につける構成になっており、90分×15回で完結。また、複数台の搬送ロボットやロボットアームなどを組み合わせ、社会実装につながる現実的なソリューションを提案する。
6月28日は11回目の授業でありテストフェーズだった。4人ずつのグループワークで動作等の確認を実施。2回目の授業公開として7月19日にレビュー会を行い、7月26日に実機審査会で授業は終了する。
この授業は機械工学科5年生の必須科目だが、数年後には他の学科の学生も選択科目として受講できるようになる計画で、東京高専の5学科の学生が互いに知恵と意見を出し合いながら課題に挑むことになるという。
なお、本取組は、独立行政法人国立高等専門学校機構の高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業の一環として実施している。
「toio(トイオ)」は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発した小さなキューブ型移動ロボット。光学センサーを内蔵し、専用のマットと組み合わせることで絶対位置を用いた制御が可能。STEAM教育やロボットプログラミング教材として、また群ロボットやインタラクション研究のツールとしても活用されている。