神奈川県横浜市は、市立小・中・義務教育・特別支援学校496校26万人がICTを活用することで日々蓄積されるデータを利用した学習支援システム「横浜St☆dy Navi(横浜スタディナビ)」を構築し、6月より全校での運用を開始した。システム構築には内田洋行が協力。同社の学習eポータル「L-Gate」をデータ連携のプラットフォームとして活用している。
本システムは、26万人の児童生徒、2万人の教職員が活用することから、全国最大規模の教育ダッシュボードのシステム構築事例となる。
横浜市は、未来の教育の実現に向けた「横浜教育DX」を策定し、児童生徒、教職員・学校、教育委員会の三者をつなぐ教育データのさらなる分析・利活用を掲げ、横浜市の公教育全体の向上を目指している。その柱となる取り組みとして、学習支援システム「横浜St☆dy Navi」の構築を進め、昨年度にモデル校での試行検証を行った。
今回、市内全校展開が開始するシステムは、横浜市学力・学習状況調査をはじめ学校生活や学習に関するさまざまなデータを児童生徒、教職員、教育委員会が活用するための情報基盤となる。セキュリティにも配慮した環境で教育データを効果的に活用できるようになっている。
児童生徒用・教職員用・教育委員会用の3種類のダッシュボードを開発。それぞれの目的に応じた機能を備えた。
自分自身の学習面、生活面の履歴を確認し、振り返りや学習計画などの自己変容に活用することができる。
児童生徒の学習面・生活面の状況を学校・クラス・個人単位で表示し、傾向などを確認できるようにすることで、一人ひとりに応じた指導・支援を可能にする。データを活用することで、学校内の複数教員がチームで指導にあたることが可能になる。
横浜市立学校全体の状況をデータで把握し、教育施策の立案や効果的な指導方法の検討などに活用するために、様々なデータを組み合わせて分析できる仕組みを備えている。
市が作成しPDF等で公開していた「はまっ子デジタル学習ドリル」の問題を文部科学省CBTシステム「MEXCBT」上で活用できるようにすることで、1人1台端末でいつでも学習に利用できるようになった。「L-Gate」の機能により「はまっ子デジタル学習ドリル」の学習結果レポートが表示できるため、教育委員会や教職員だけではなく、児童生徒もデータを活用した学びに取り組める。
市が開発した横浜市学力・学習状況調査結果の「分析チャート」は、これまで各校へCD-ROMで配布していたが、より見やすく改修し「横浜St☆dy Navi」上で利用できるようにした。義務教育9年間の一人ひとりの「学力」の伸びを経年で把握できる「分析チャート」を、いつでも確認・分析できるようにすることで、経験や勘に加えて客観的なデータを活用した子供の理解や授業改善を推進する。
「横浜St☆dy Navi」は、内田洋行の学習eポータル「L-Gate」をデータ連携のプラットフォームとして活用している。「L-Gate」は日本1EdTech協会の国際技術標準や学習eポータル標準に準拠しており、毎日の健康観察や授業アンケート、はまっ子デジタル学習ドリルの活用履歴などの様々なアプリケーションのデータ連携が可能。将来的には多くのデジタルドリル、学習コンテンツ等や校務支援システムとのデータ連携を目指している。
安全にデータ活用できる環境として、セキュリティ強度の高い認証基盤を構築した。複数のクラウドサービスを利用する際のアカウントを統合するID管理のしくみや、IDとパスワードだけでは防ぎきれない不正アクセスにも対応できる強固な認証機能を備えた、ゼロトラストにも対応可能な認証基盤となっている。