国立情報学研究所 (NII) は4月1日、新たに大規模言語モデル(Large Language Models、以下「LLM」)の研究開発を行う「大規模言語モデル研究開発センター」(以下「LLM研究開発センター」)を開設。センター長にはNII所長で京都大学特定教授の黒橋禎夫氏が就任した。
NIIは昨年5月に、国内の研究機関や民間企業などの幅広い人材が参加するLLM勉強会(LLM-jp)を立ち上げ、オープンな生成AIの研究開発を推進してきた。今回、文部科学省の「生成AIモデルの透明性・信頼性の確保に向けた研究開発拠点形成」事業を実施する拠点として、研究所内に新たに専門のセンターを設立し、新進気鋭のAI研究者がLLMの研究開発に邁進できる体制を構築した。
同センターでは、まずは今年夏ごろの完成を目指して1750億パラメータ(GPT-3級)のLLMを構築するとともに、LLMの透明性・信頼性の確保に向けた先端的な研究開発など、オープンかつ日本語に強い大規模モデルの構築に関連する研究開発を推進する。そして、このような活動を通じ、一連の知識と経験を蓄積し、AIの進化、ひいては将来にわたる革新的なイノベーションの創出に貢献するとしている。
「国立情報学研究所では、2023年5月から、趣旨に賛同した人なら誰でも参加できるLLM-jpを立ち上げ、モデル・データ・ツール・技術資料等を議論の過程・失敗を含めすべて公開する取り組みを行ってきました。大学、企業から多くの参加を得て、現時点で1000名を超える規模まで成長しています。このような取り組みが認められ、LLM研究開発センターを設置することになりました。必要な計算資源を整備し、組織横断で生成AIの原理解明と構築手法の確立に挑戦したいと考えています。優秀な若い方に集まって頂き、日本のLLM 研究開発のハブとなり、また国際的な連携も進めていきます」。