東京都世田谷区でこのほど、DX推進担当課の職員チームが内製で、Microsoft Azure に生成AIを活用する環境を構築し、Microsoft Teamsで生成AIと対話ができるチャットボットを開発し全職員への提供を開始した。
本チャットボットは、区の生成AIおよび庁内データを活用するプロジェクトの一部で、今後のプロジェクトの基礎となる環境を、まずは区職員向けに構築した。
本チャットボットは、Microsoft Azureがクラウドで提供する機能やサービスのみで構成された環境で、外部に委託することなく、非エンジニア職の区職員がローコードツールなどを駆使して開発された。自治体に求められる各種セキュリティ要件もクリア。通常業務を兼務しながら3カ月という短期間で全ての工程を完了させている。
株式会社クラウドネイティブが、プロジェクトの進捗や担当の区職員の習熟レベルに合わせながらノウハウを提供する形で支援した。区のICT環境へは一切触れず、区職員たち自身の手で構築・開発している。
このチャットボットサービスは、区の生成AI活用プロジェクトの第一弾として今年1月に稼働を開始。現在は生成AIに庁内のデータや文書を参照させて質問に答える「QAチャットボット」をテスト中で、3月中にICTサポート用チャットボットを提供開始する予定だ。
チャットボットを実際に利用した区職員127名を対象にしたアンケート結果によると、生産性の向上を実感した区職員が73%にものぼった。通常業務では1日平均約34分の削減、アイデアや企画の素案作成については1回の処理につき平均約77分削減したと回答。役に立った主なケースについては以下の通り。
また、「やさしい日本語ボット」と題した、そのままでは固い印象や難しい日本語で構成されている文書や規定を、幅広い年齢層や外国人でも読みやすい形に書き換えるボットの要望も多く出ている。市民と行政の接点となる区役所ならではの要望だ。
生成AI活用の研修へ96%の区職員が参加意欲を示しており、生成AIへの関心が非常に高いことがわかった。
今回は、チャットツール(Microsoft Teams)上で生成AI(ChatGPT)と対話ができ、次のプロジェクトとして、庁内の内部文章を参照させた上で対話ができるQAボットがテスト段階に入っており、3月中にICTサポート用チャットボットを庁内で展開していく予定。
現在は生成AIの活用は庁内に限定しているが、区民向けのサービスへの活用可能性も今後検討していくという。